第1章 学校特訓編
第2話 学校......だと!?
「すっげーーなこの町。ゲームとか異世界感抜群じゃん。なぁフィン」
「そうなのですか? 私はこの世界しか知らないのでこれが普通なのですが」
「そりゃそうか」
扉を抜けた2人は石造りの家が建ち並ぶ路地の中に立っていた。その路地を抜けると商店が多くある道があり、そこを歩いていた。
宿屋に武器屋、防具屋、アイテムショップ、魔法屋、酒場、そして中世ヨーロッパ風というまさに異世界といった町並みにソラはテンションが高くなっていた。
「ちなみに俺って今酒飲めたりするのか?」
「こちらでもお酒は20歳からなのでソラはまだ飲めないのです」
「まじかぁ......てことは情報収集は酒場以外かぁ......」
「いえいえ、酒場にはジュースも有るのでソラも利用できるですよ」
「そりゃ良かった」
RPGネタの鉄板の1つである酒場という場所が使えることに安堵する。
「なぁフィン。試練がどこにあるか知ってるか?」
「この町から東西南北に1つずつあって1つクリアすると次の場所を教えてもらえるそうなのです」
「へぇ~んで、最初の1つはどこにあるんだ?」
「知らないのです」
「ん......今なんて?」
「知らないのです」
「ええええ!? いきなり手詰まりじゃんか! えっどうすんの! どうしたらいいの? えっえっええええ......」
「大丈夫なのです。これから行くところで教えてもらえるのですよ」
「まじ?」
「まじなのです」
「よっしゃそうと分かったら早速行こう。すぐ行こう! どこにあるんだ?」
「こっちなのです」
ソラはフィンに連れられ街の北東部に向かって歩いていた。
――結構来たけど一体何があるんだ? 占いとかだったりして。いやそれはないか、なんか確実に教えてもらえそうな言い方だったもんな。
「見えてきたのです」
......あの見覚えのあるシルエットは......いやいや、そんなわけないよな。ここは異世界で、冒険をするところで......
「じゃじゃ~ん。学校なのです」
「なんでやねん!」
なんで異世界に来てまで勉強せなあかんねん。超めんどくせぇ。
「あ~フィンさんや、つかぬ事をお聞きしますがここは一体何の学校なのでしょうか?」
「ここはソラのように別の世界から来た人たちのための学校なのです。ちなみに見習いからも卒業できるですよ」
「よし。行こう、すぐ行こう」
何だよ~。そういうことなら大歓迎だぜ。サクッと卒業してさっさと一人前になってやるぜ。
でも改めてみるとこの学校よくあるやつとは少し違うな。学校って感じなのは3階までで4、5階はなんかマンションとかアパートみたいな感じだな。まぁ屋上のあの出っ張った時計の部分はまさにって感じではあるけれど......
「まずは職員室で入学手続きをするです」
「オッケー」
玄関はあるけど下駄箱は無しか......土足でいいのかな......
それにしてもなんか学校に来たの久しぶりな気がするんだけど何でだろ。それになんか所々思い出せないんだよなぁ。まぁ俺にとってはその程度だったってことなのかもな。おっ職員室みっけ。
「失礼しま~す。入学手続きをお願いします」
「は~い。ちょっと待ってくださいね~」
奥の方から女性の声で返事があった。
――それにしてもここまでそっくりに作らなくてもよかったんじゃないのか?この学校のせいでファンタジー感台無しなんですけど。
「すいません、お待たせしました。どうぞ、こちらにおかけください」
「あっはい。失礼します」
「じゃあこの紙にあなたと妖精の名前を書いてここに手を置いてください」
「手を......ですか?」
「はい。手形をとると思って2人ともしっかりお願いします」
「はぁ」
訳は分からなかったがとりあえず言われたとおりにするソラ。
「ほらフィンも」
「はいなのです」
「「......」」
「はい、もう大丈夫ですよ」
そう言われて手を離すと紙の形状が変わり厚みが増え白い1冊の本へと姿を変える。
「ではこれがあなたの冒険者ブックになります」
「冒険者ブック?」
「はい、冒険者の必需品です。詳しい説明は後ほど担当講師が行いますので」
「わかりました」
「ではこれで入学手続きは終了です。講師を呼んできますのでこのままお待ちください」
「あっはいありがとうございました」
そう言って彼女は職員室から出て行った。
「なんかずいぶんあっさりと終わったなぁ」
「女神様がめんどくさがって簡単にできるところは簡単にしようと言い出したのが原因らしいのです」
「あ~なるほどね。納得」
そうこうしているうちにさっきの彼女が1の人女性を連れて戻ってきた。黒髪ロングのポニーテールで整った顔立ちの綺麗系の美人だ。
「お待たせしました。こちらがあなたの講師のアカリさんです」
「よろしくね」
「よろしくおねがいします」
「なのです」
「それじゃあ私はこれで。後はお願いしますね」
「ええ任せて」
そう言い終えると彼女は元いた場所に戻っていった。あそこが彼女の机みたいだ。ていうか結局名前聞き忘れてた。まぁまた今度聞いてみるか。それより今はこっちだな。
「あなたたち名前は?」
「ソラです」
「フィンはフィンなのです」
「ソラとフィンね。とりあえず教室に移動しましょう。詳しい話は長くなるだろうし、行きましょうか」
「分かりました」
移動中、無言なのが気まずくなりソラは気になったことを質問する。
「あの~」
「どうかした?」
「今この学校に俺以外の生徒っていないんですか?」
「今はあなたと見習い魔道士が1人だけね」
1人だけか......でもいるんだ。
2階に移動し、戦士クラスと書かれたプレートのある教室の前で立ち止まる。
「ここね。どこでもいいから座ってちょうだい」
戦士クラスってことは最初の3つの職業で分けてあるのかな。中はそのまんま学校って感じか......ていうかどこでもって机3つしかないんですけど。まぁ別にいいけど。真ん中でいいか。
「では改めてまずは自己紹介から。私の名前はアカリ。職業は近衛騎士団長。なので戦士クラスを受け持っているわ。
ちなみに私は......というかこの学校の講師の3人はあなたと同じ向こうの世界の出身で、いろいろあってここで講師をしているわ。よろしくね」
「俺は谷本空です。職業は見習い戦士です。よろしくおねがいします」
「フィンは風属性の妖精なのです。よろしくおねがいしますなのです」
「ところで女神様からはどれぐらい説明を受けたの?」
「死にたくなかったら魔王を倒せということですね。2年以内に」
「はぁ......やっぱりそのぐらいなのね」
「えっ?」
「回を重ねるごとに説明が少なくなっていたのよ。だからそのうち必要最低限だけになるんじゃないかなぁと思っていたんだけど......」
「そうなっていた......と?」
「ええ、まぁ」
「「......」」
「「はぁぁぁぁぁぁぁ......」」
あのクソジャージやろうまじかよ。これはかなり先が思いやられるぞ。気を引き締めていかないと。
「女神様にも困ったものね。ということは初めから説明しないといけないのね」
「心中お察しします」
「それじゃあまずはこの世界について。ここは
「日本地区ってことは他にも?」
「ええ。ある程度の人口ごとに分けられているらしいわ。アメリカや中国なんかはいくつかに分かれているみたいだし。おそらく人口1億ぐらいが目安なんだと思うわ」
「へぇ~ちなみに他の地区に行くことは出来るんですか?」
「残念だけどそれは出来ないらしいわ。一応年に1回武闘会があるから交流はあるけどね。でも行けたとしても言葉が分からないでしょう」
「それもそうですね」
武闘会ってことは強くなれば出れるようになるのか......そうすればお近づきになれるかも! 金髪美女のお姉さんと......
「あなた考えてることが顔に出てるわよ」
「へっ。なな何のことですかねぇ~」
「ニヤニヤしながら鼻の下が伸びていたです。だからきっとスケベ~なことなのです」
「なっなぁ~にを言っているのかな~そんなわけないだろ。失礼な」
「まぁそれは置いておいて~、次」
「おいとくんかい! 別にいいけども」
「生活に関してだけど。住む場所はこの学校の4階に1部屋用意してあるから訓練の前に1度寄ってみるとといい。トイレと風呂は各階ごとで共用になっていて、食堂は3階よ。ちなみに3階は私たち教員、4階は男子、5階は女子用だから用もなく別の階、特に5階に行ったりしないように」
「ウッス」
「一応言っておくけど5階は許可無く立ち入ると様々なトラップが発動して侵入者を排除するから死にたくなければ近づかないことね。冗談抜きで」
「ウッ、ウッス」
「部屋は卒業してもこの世界からいなくなるまではあなたのものだから、拠点として使うといいわよ。まぁお金さえあれば町の中にある宿屋や部屋を借りることも出来るから好きに使うといいわ。今も3人冒険中の子がいるけどあんまり帰ってこないしね」
「そうなんですか」
やっぱり上の方は居住区みたいになってたのか。卒業しても使えるのはありがたい。
今も冒険中の人は3人か......かなり有益な情報がもらえそうなんだけどなかなか帰ってこないなら運次第......いや探してみるのも有りか......
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