第4話 真二の章02 お姉さん

僕の、「やはり無理」の発言に、お姉さんは優しく尋ねてくれた。

「どうしてだめなの?」

その笑顔は、とても優しい。


さすが、巫女さんだ・・・


「僕は、毎日通う体力がありません」

「うん、きゃしゃな体格だね」

はっきりいう人だ。

でも、嫌味はないので、腹は立たない。


「じゃあ、こうしようよ。ここで、住み込みで働く事にしたら」

「さすがに、それはやばいです」

「えっ?どうして?」

お姉さんは、優しく語りかけてくれる。


「だって、年頃の女の子と、同じ屋根の下で暮らすのは・・・」

「心配しなくていいよ。君には社務所に寝泊まりしてもらうから・・・」

ホッとしたような、残念なような・・・


「わかりました。お手伝いします」

「ありがとう。真二くん。頼りにしてるね」

「がんばります。お姉さん」

「あっ、私の事は、真奈でいいよ」

「真奈さん?」

「うん。よろしくね!真二くん」

真奈さんに手を握られる。


とても温かいが、女性の手とは思えない。

苦労しているんだな・・・


「じゃあ、今日は真二くんの歓迎会だね」

「そんな、大袈裟な・・・」

「ううん。作らせて。私、料理好きなんだ。

明日からも、毎日毎食作ってあげるね」

楽しみが増えた。


詳しい仕事は、明日話すと言うことだが、若い女性の手料理が食べられる。

楽しみが、増えた。


その日、お姉さんは鍋を作ってくれた。

ふたりで、差し向かいでつつく鍋は、美味しかった。


しかし、いいことがあれば、その分の代償もある。


食事は作るが、後かたずけはしてくれとのことだ・・・

まっ、それでもいいか・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る