第34話しくまれたラッキースケベ 其の1・反省会
「よーし、カメラ止めちゃって。みんな、映像を確認しよう。シンマイさん、おねがいね」
俺はそう言って、主演女優のインテリジェンスちゃんをはじめ、スタッフたちを呼びあつめる。ちなみに今回はエキストラはいない。俺とインテリジェンスちゃんの二人きりでラッキースケベを演じたわけだ。
そうこうしているうちに、若くて新入りなのに、なかなか良く気がつく有能なスタッフとなってきたシンマイちゃんが、カメラマンさんから映像ディスクを受け取ると、大型モニターの所まで走っていって、俺に合図してくれる。
「イセカイ監督! 準備できました。いつでも見られます」
いつもながら、俺のためにかいがいしく働いてくれるシンマイちゃんである。裏方に、『なんであいつのためなんかに下働きしなくちゃなんねえんだ』なんて文句を言われるようでは、名監督とは言えない。
「よし、ありがとう、シンマイさん。じゃあ、始めちゃってくれ」
俺がそう言うと、シンマイちゃんが俺の作品の再生を始める。いつもながら、この瞬間はドキドキする。
画面の中のイセカイ君に、これまた画面の中のインテリジェンスちゃんが悪口を言っている。さあ、ここからが大事なシーンだ。イセカイ君のところからプイと去っていくインテリジェンスちゃん。そのインテリジェンスちゃんが盛大にすっころぶ。すると、インテリジェンスちゃんのスカートがめくれあがって、イセカイ君にパンツがまるみえになるシーンであるが、そのパンツは、大勢のスタッフたちが見ている画面には映ってはいない。
すっころんだインテリジェンスちゃんを、後ろから映しているアングルだが、パンツを俺の後頭部がかくしている形になっている。
「シンマイさん。このシーンもう一回。インテリジェンスさんが転ぶところから。今度はスローモーションで」
「はい、イセカイ監督。わかりました」
そうして、画面の中で、インテリジェンスちゃんがイセカイ君に、パンツを見せつけるシーンをスローモーションでじっくり確認しようとする俺たちである。その中には、イセカイ君にパンツを見せるシーンを演じたインテリジェンスちゃんもふくまれている。
すると、俺の指示通りにシンマイちゃんが、インテリジェンスちゃんが転んだところからスローモーションで再生してくれる。俺は目を皿のようにして、インテリジェンスちゃんがイセカイ君にパンツを見せつけているシーンを見つめているが、余計なものは映ってはいないよだ。一応、スタッフにも確認を取る俺である。
「みんな、問題ないな」
俺の言葉に、スタッフ全員がうなづいてくれる。イセカイ君にパンツを見せつけたインテリジェンスちゃんも、ホッとした顔をしている。
「よし、ここまでは大丈夫だ。さあ、続きといこうか。でも、すこし気をつめすぎちゃったな。シンマイさん、一時停止しといてくれるかな。で、リラックスしたいや、インテリジェンスさん、パンツの中身見せてよ」
そんなどストレートなセクシャルハラスメントを主演女優のインテリジェンスちゃんにする俺である。しかし、インテリジェンスちゃんは、まったくためらうことなく俺のリクエストに応じるのである。
「了解しましたわ、イセカイ監督」
そう言うと、インテリジェンスちゃんはスカートをめくって、その中身をまる見えにする。その中身は……
ブルマである。この異世界にも、布面積ではパンツと変わらないが、他人に見られても問題はない、と言うあつかいの衣服が存在するのである。その用途も、授業の体育の時に女子生徒が着るもので、現代日本のブルマと変わりがない。
そのブルマなら、スカートの中にはいているところを誰かに見られても、たいしたことではないという理屈は、この異世界でも通用するようで、インテリジェンスちゃんもスカートの中のブルマを撮影中にもろ出しにすることをオーケーしてくれた。
で、そのブルマを俺の後頭部で隠して、インテリジェンスちゃんのパンツが俺にまる見えになっているように演出したのである。
その演出がうまくいったことは、インテリジェンスちゃんのパンツまる見えシーンを穴があくほど見つめているスタッフたちの様子を見ていればよくわかる。
「なるほどお、こうすれば実際にパンツを画面に映さなくても、インテリジェンスさんのパンツがもろ見えになっている、と見ている人間に伝わるのかあ。さすがイセカイ監督だ。勉強になるなあ」
「いやあ、これは、へたにパンツを画面におおうつしにするより、表現としてはすぐれているかもしれないなあ。こっちのほうがかえって想像力が働いて、見ていて興奮するよ。何より、へたにインテリジェンスさんがはいているパンツを、フィクションとは言え見せてしまったら、やっぱりイメージがこわれちゃうもんなあ。主演女優を安易に脱がせたりはしないんだから、イセカイ監督には、かなわないや」
と、こう言った感じで、スタッフたちにも好評なようである。主演女優のインテリジェンスちゃんもこの俺のアイデアに感謝しているようで、ほおを赤く染めながら俺にお礼を言ってくる。
「その、イセカイ様。ありがとうございますわ。やっぱり、撮影とは言え、イセカイ様以外にわたくしのパンツを見られると言うのは、どうも……で、でも、ブルマとは言え、わたくしの恥ずかしい部分をイセカイ様にあんなにじっくり見られて、ドキドキしてしまいましたわ」
そんなことを恥ずかしそうに言ってくるインテリジェンスちゃんに、俺は返事を言いつつ、スタッフたちに号令をかけるのだ。
「まあ、俺もインテリジェンスさんの嫌がることを無理じいしたくはないからね。それよりも、映像にはまだ続きがあるから。さあ、みんな、映像の続きの確認といこうか」
異世界での俺はヒロイン全員に嫌われているけど、それは台本で実際はモテモテな件 @rakugohanakosan
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。異世界での俺はヒロイン全員に嫌われているけど、それは台本で実際はモテモテな件の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます