私日和

玖悠 遥

空を見上げる

今にも泣きだしそうな幼い子供が見えた

ポツリと額に当たる冷たい滴が

ヒヤリと胸の火照りを冷ましていく

一人ぼっちの悲しさを今日も道端に咲く名もない花が

伝えることなく感じていくのだろう


空を見下ろす

見下ろしても眼下に広がる空は僅かで

まだ幾千幾万の雲が空が

はるか頭上から僕を見下ろしている

胸の中に広がるなんとも言えない寂寞感が

僕にもっと飛べよと急かす

突き動かされるように足が一歩前に踏み出された


空を見渡す

果てしなく広がる空

そこには彼らを邪魔する雲は一つもなく

胸に広がる清涼な空気が僕の心を擽る

まだまだ道の先はつづいているんだよ、と

語りかけてくるその風が通り過ぎるたび

また前を向いて進んでゆく

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私日和 玖悠 遥 @uzu2ra3

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