第15話 光 三

 「あ~何か私、お腹すいたかも…。

 りんご飴食べたいなあ~!」

というわけで僕たちは、りんご飴の露店にまず行くこととなった。

 待ち合わせ場所からりんご飴の露店までそんなに距離はなかったが、今日はとにかく人が多い。そのため、僕たちはゆっくり歩く羽目になり、その露店までたどり着くのに時間がかかる。

 でも美玲は、

 「私、こういった人ごみ、平気な方なんだ!

 何か、人が多いのって、ワクワクしない?」

「そうなの?僕はどっちかというと、人ごみは苦手で…。」

 そう、僕は「闇属性」とそれに伴ういじめのせいで、人に恐怖心をいくらか抱いている。

 そのため、それが自分とは全く関係のない他人であっても…やはり人を見ると構えてしまう習性ができてしまっている。

 すると美玲は、そんな気持ちの僕を察したのか、

 「そっか。ごめんねかずくん。何か申し訳ないこと訊いちゃったね。

 でも、私といれば、大丈夫!不安な時は、いつでも私に言ってね。

 これからは、私がかずくんを守るから!」

 僕は美玲にそう言われて、本当に、心の底から嬉しくなる。

 「うん分かった。ありがとう、美玲!」

「いえいえ。

 でもその代わり、私もかずくんに色々おねだりしちゃうかもしれないけど…よろしくね!」

「はい!」

そう言い合って僕たちは、笑った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る