その762 ヤツを探して東奔西走2
アスランが気絶した後が大変だった。
異変に気付いたラジーンが駆けつけ、どこから情報を得たのかわからないナタリーがいつの間にか……いた。
彼女はいつの間に現れたのだろうか。
一瞬ジャパニーズホラーでも観ているかのようにナタリーを見てしまった俺を誰が責められよう。
しかしナタリーは――、
「いいミック!? 暗部は今オリハルコンの呪縛で詰めてるんだから、余計な希望を持たせないでっ!」
キッチリ責められてしまった。
詰めてるって何ですかね? 私の知らない言語か何かだろうか?
そんな一悶着のようでそうでないような時間が過ぎ、俺とリィたん、そして
「あら?」
俺たちの接近に気付いたテルースは、小首を傾げながらそう零した。突然の来訪だったが、テルースは俺たちを嬉しそうに招いてくれた。
それから俺は、アスランを失神に追い込んだ事だけを
「オリハルコン……ですか」
「えぇ、ちょっと必要なんですよ」
「ふふふふ、国がかりでダンジョン産のオリハルコンを集めて足りないのなら、それはもうちょっとではありませんよ」
「あれ? ご存知でした?」
「
テルースが申し訳なさそうに言うと、俺はリィたん、
しかしその直後、俺はバッと立ち上がった。
「ど、どうしたミック?」
リィたんが少し驚くも、
「おいおい、まさか
リィたんがテルースに言う。
すると、テルースはくすりと笑って言った。
「違うわ。
なるほど、
…………何て零したら、きっと皆は俺のせいだと言いそうなので、賢い俺は黙る事にした。
やがて俺たちの前に顔を見せた
「何だ、
第一声がそれとは、龍族のモラルはどうなっているのだろう。
まぁ、彼女たちは人間のモラルで測れないけどな。
「実は
「冗談はいい。オリハルコンの事だろう?」
ほら、
「知ってるか?」
「……存在する事は知っている」
意外にも、
「が、どこにあるかは知らない。霊龍が管理してるのだと思うが……ミックはそう思ってないのだろう?」
「えぇ」
「その理由がわからなくてな」
あぁ、答えを渋ってたんじゃなくてそこに疑問があったのか。
「
「何?」
「『霊龍は人間界に干渉しない』って」
「…………ふむ、確かにその通り……だな」
「まぁそういう事で、干渉はしないけどわかりにくい場所にオリハルコン鉱山があるというのが私の見解です……って、マジかおい」
南東の空を見上げてながらまた立ち上がると、皆そちらに意識を集中させた。
「あらあら」
テルースがくすりと笑い、
「むぅ、ミックには困ったものだな」
リィたんが嬉しそうに呆れ、
「シェルフに行く前以来……か」
「異質な存在が呼び込んだな……」
なるほど、彼女が来るなら異質な存在は俺という事になる。
南東とは法王国。法王国に住む彼女たちの知り合いとは、先ほどまで
「おい
怒れる剣鬼付きである。
剣神は来てないみたいだな。
「私だけ仲間外れは嫌なのだ! 鬼っ子は爺と一緒にお茶でも飲んでるといいのだ!」
「そういう訳にもいかねぇんだよ! その図体で飛び回って誰が言い訳するんだよ!!」
オベイルのヤツ……苦労してるんだな。
すっぽんぽんでこちらに走ってくる
あの二人、身体張る系の芸人にでもなったのだろうか?
そう思いながら、俺は【闇空間】から
服に突っ込むと同時、オベイルは
「よぉ、ミック。何だ、世界でも滅ぼすのか? 手伝うぜ?」
相変わらず本気なのか冗談なのかわからない人だな。
「何で皆集まってるのだ?!」
ワクワクしながら聞く
そう思うも、純粋な瞳で聞く
「ダンジョン産だけで足りないって、どれだけ使うつもりだよ……?」
呆れるオベイルだったが、
「オリハルコン鉱山かー」
どうやら炎龍ロードディザスターも知らないようだ。
「知ってるのだ!!」
しかし、幼女は全てを兼ねるらしい。
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