その763 ヤツを探して東奔西走3
「ふん、あまりふざけるものではないぞ、炎龍」
ギロリと睨む
「ほ、本当に知ってるのだ!」
幼女とはいえ彼女は炎龍ロードディザスターである。
なんとか最強龍族のシュリに対抗しようと牙を見せるが、ロイスの歯はどうも乳歯っぽい。
そんな中、ロイスの隣を陣取ったのはテルースと
仔龍をいじめるなといわんばかりだ。
あの二人には敵わないようで、シュリは肩を
いや、俺に振るなよ。
二人はロイスに事情を聞いているようだが、リィたんは疑問を持っているようだ。
「どう思う? 生まれて間もないロイスが本当に知っていると思うか?」
「んー、親御さんに聞いたとかじゃない?」
「オベイル、お前はどう思う?」
「知らねぇな。だが、アイツは嘘を吐くようなヤツじゃねぇぞ。まぁ、どこかの元首は真実を言わずに事実だけ言ったりするみたいだがな」
と、ニヤニヤとしながら俺を見てくる。
確かに、俺はそんなところがあるかもしれない。
「なるほど、そういう事か」
ロイスの事情を理解したのか、クリューがそんな納得の言葉を零した。
そして、俺を見ずにリィたんを見たのだ。
「炎龍ロードディザスターはマグマの海で泳いで遊ぶらしい」
想像できない遊びだ。
「当然、火口に飛び込む事も少なくない」
何が当然なのかわからない。
「海底火山だ」
「「は?」」
それは、俺も、リィたんも、シュリも、オベイルも同じ反応だった。
「
「あー……そういう事か」
なるほど、それでクリューは水が
「つまり、オリハルコン鉱山は――」
「――海中にあるという事だな」
道理で誰も知らない訳だ。
リィたんもしばらく【嘆きの渓谷】にいたし、知らないのも無理はない。それに、他の龍族が入ろうと思って入れる場所でもない。
俺たちの視線がリィたんに集まる。
「出来そう、リィたん?」
そう聞くと、リィたんは得意気に胸を張って言った。
「ふっ、どうやら最後は私の出番という事だなっ!」
とても可愛い。
話がまとまると同時、ロイスが嬉しそうに言う。
「役に立ったのだ!?」
「おう、そうみたいだぜ!」
オベイルがロイスの頭をガシガシと撫でる。
首をひっこめながらも喜ぶロイスに、俺の顔も綻ぶ。
世界が本当に滅ぼせそうなメンバーな事は置いといて、有力な情報は得る事は出来た。
ミナジリ共和国の三人は、協力してくれた皆に礼を言い、オベイルとロイスには「法王国に転移させようか?」と聞いたが、ロイスはクリューとテルースと一緒に遊ぶと言い、オベイルはその二人にボコボコにされてから帰るとかドM発言をしていた。
ロイスの実力は既にオベイルに近いところまできている。
オベイルも負けてられないのだろう。
そういえば、ジェイルが『剣神イヅナの実力が
◇◆◇ ◆◇◆
「ミック! さぁ行こう! 今すぐ行こう!」
ミナジリ共和国に戻ってすぐ、リィたんが海デートに誘ってくる件。
いや、俺だって行きたいよ?
でもね、そうは問屋が卸さないのだ。
「うーん……ちょっと待っててくれない?」
「何故だ?」
「海にも領海ってものがあってね。リーガル国の海に手を出したくないから、念のためロレッソに確認してから……ね?」
「何故だ! 世界の海は私のものだぞっ!!」
ぷんぷんリィたん丸の言い分はご
だが、それを主張してしまうと、リィたんのものはミナジリ共和国のものという中々の暴論になってしまう訳だ。
国としてそれを認める訳にはいかない。
そう思い、頬を膨らませるリィたんを引っ張ってロレッソの下までやって来た。
事の経緯を説明すると、ロレッソは呆れた様子で言った。
「まず、そのオリハルコン鉱山なるものが海のどこにあるのかを正確に測定する必要があります。世界規定で国の領海は二百キロメートルまでと決まっていますので、そこから外れればミナジリ共和国が何をしても文句は言われないでしょう」
なるほど、現代地球の【二百海里水域制限】みたいなものか。
この世界ではそこまで漁業が盛んではないし、海を渡っての交流も少ない事からそんなに距離を設けていないのだろう。
ならば、そういうものが設けられる前に行動を移してしまうのが正解か。
「ふんだ!」
ぽんぽこリィたんはとても可愛いのだが、困ったぞ?
「どこにオリハルコン鉱山があるかわからないのに、掘らずに場所を特定する……か」
【壁抜け】の能力は地面には意味がないし、流石に俺も水中で地泳を使えない。ならば……――、
「ミケラルド様、出来ない事をするよりも堅実にダンジョンで集めた方がいいのでは?」
そんなロレッソの言葉を、俺は一蹴した。
「そうだ……ダウジングだ!」
世は正に大冒険時代。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます