その675 集う龍族
ホネスティが迎え入れたのは計五人。
剣神イヅナ、剣鬼オベイル、
暗部の人間を散らした後、俺は応接間で彼らを受け入れた。
そこは異世界というか異界というか……ホント、変な空間になっていた。
「どうなってんだよ、おい」
壁に寄りかかったオベイルが俺に聞く。
「ホント、どうなってるんでしょうかねぇ?」
そう答えると、オベイルが俺をずびしと指差して言った。
「俺はな、そこの木龍グランドホルツに龍族が集まった理由を聞いたら、『ミナジリ共和国に行けば全てわかる』って言われたから付いて来たんだよ」
「
「
ここは会議の議長としてオベイル君を注意すべきだろう。
じゃないと、オベイルの命が危ない。
「ちっ、ほざいてろ……」
人類の中ではトップクラスに強いんだけど、この空間にいるとオベイルが
「が、しかしだ」
そう切り出したのはイヅナだった。
「何かとてつもない事が起こる……その前兆だという事は理解出来る。そうだろう、ボン?」
「えぇ、私もイヅナさんと同意見です。ただ、答えを持ち合わせていません」
「あぁ? そりゃどういう事だよ?」
オベイルが
しかし、
苛立ちを見せるオベイルだったが、そこへ意外な存在が口を出したのだ。
「私が教えてあげるのだ!」
コリンより年下の
「ガキのたわごとに付き合ってられねぇんだよ」
オベイルが唯一強く出られる相手の
「ちゃんと知ってるのだ! な? なっ?」
両側に座る
「……もしや、またか?」
リィたんの言葉にテルースがくすりと笑う。
「だから言ったじゃない。ミケラルドさんのいるミナジリ共和国へのテレパシー干渉は出来ないって」
テルースがそう言うと、リィたんがしゅんと項垂れる。
あんなリィたん、珍し過ぎて写真に収めたい欲が凄い。
だが、テルースの言葉で話の全体像が見えてきたな。
「くっ……霊龍め……」
「「っ!?」」
リィたんが愚痴のように零した名前によって、ジェイル、ナタリー、イヅナ、オベイルの四人が硬直する。
そんな彼らを引き戻してやるため、俺は
「では、お三方には霊龍さんから連絡が届いたと」
「そうなのだ!」
でも、答えてくれたのは
言いたがりの年頃ってあるよね。
俺は
――
俺は『話のわかる系元首』として名前を売ってる節があるので、
「それじゃあ
言うと、ニヤリと笑った
「ふっふーん! どうしようかな~?」
今、少しだけ……ほんの少しだけ「このクソガキが」とか思ってしまったけど、すぐに俺は冷静に戻った。褒めて欲しい。特に霊龍に。
「じゃあテルースさんに聞くね?」
こういう時は、手柄を誰かに取られてしまう可能性をほのめかしてやればいいのだ。功を焦り、慌てて皆の聞きたい話をゲロってくれる。
「わ、わわわっ! それはダメなのだ!」
「
「ダメったらダメなのだ!」
「じゃあ教えてくれるかな?」
「そ、そこまで言うのなら仕方ないのだ! 実は……招待状を貰ったのだ!」
おっと、まだ全貌が見えないぞ?
「招待状ってどういう事?」
ナタリーが聞くと、
「ど、どういう事なのだ……?」
俺ががっちがちのギャグ路線を走っているのであれば、ここでコケて見せるのだが、いかんせん、このシチュエーションに合わない気がする。
「じゃあ回答権が戻ってきたようなので、教えてくれますか、
「ミック、今お前はシェルフにある
「おいおいマジかそれ!?」
「ほっほっほ、まさか
オベイルとイヅナが驚くのも無理はない。
「国家機密を世間話みたいに話しちゃってからに……」
やれやれと溜め息を吐く俺に、
「持てる力を全てそこに注ぎ込んだ事も霊龍から聞いた。がしかし、シェルフの【聖域】にダンジョンがあるともなればまだ弱い。それはミックも理解しているだろう」
「まぁ、そうですね。間もなく回答は得られるでしょうが、やはりまだ弱いと言わざるを得ません」
「だからこその招待状だ」
「……読めませんね」
言うと、テルースがその中身を教えてくれた。
「明日、雷龍シュガリオンがここ、ミナジリ共和国へやって来ます」
「「っ!?」」
……なるほど。
そういう事か……霊龍。
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