その133 ギルド招致
意外に疲れが出なかった。
途中で魔力が枯渇するかと思ったけど、そうならなかったって事は、もしかしたら魔力容量が増えているのだろうか?
まぁ、それは今度調べてみよう。
まずはギルド招致の件だ。例の如く冒険者ギルドに来た俺だが、冒険者たちの奇異の視線に囲まれている。ギルド受付員のネムがここで待ってろというのだ。仕方ないだろう。
こうして視線に囲まれながらも安心していられるのは、闇魔法の【隠蔽】があるからだろう。バルト商会のバルトの忠告により、他者からの【鑑定】を逃れる術を編み出したのは、その当日の事。これを
これにより、外部へ情報が漏れる事を限りなく抑えられた事だろう。
周囲を見渡しながら【鑑定】を自分に発動する。
ミケラルド:吸血鬼
◆魔法◆
火魔法:フレイム・フレイムボール・フレイムランス・ヒートアップ・ブレス・フレイムウォール
水魔法:ウォーター・水球・金剛斬・津波・大津波
土魔法:砲岩・地走る蛇・
雷魔法:サンダー・疾風迅雷・
風魔法:エアスライス・浮遊滑空・ヘルメスの靴・突風・エアウォール・呼び戻しの風・探知
闇魔法:ダークヒール・
光魔法:
◆複合魔法◆
クリーンウォッシュ【水風】・
◆技◆
竜剣・
◆特殊能力◆
◆固有能力◆
超聴覚・嗅魔・超回復・威光・闘志・龍の血・嗅覚・威嚇・健脚・石頭・恐怖耐性・危険察知・毒耐性・刺突耐性・炎耐性・麻痺耐性・地形無視移動・木々同化・交渉・擬態・突進力・遠吠え威嚇・斬撃耐性・威嚇耐性・粘糸・鋼糸・外装強化・攻撃魔法耐性・縦横駆け・糸耐性・猛毒耐性・切断耐性・粉塵耐性・フェロモン・打撃耐性・視野拡張・透過
リーガルのダンジョン以降、色々な魔法や技、特殊、固有能力が増えた。
近々で増えたのはダークマーダラーの【サイトゥ】の土魔法――【
これがなければ、我がミナジリ領の囲いも強度に不安を覚えただろう。
次に闇魔法の【瘴気毒】。これは妖魔族不死種の【ヒミコ】から得たものだ。【催眠スモッグ】の毒バージョンと考えればわかりやすいだろう。といっても、使う機会があるのはか不明だ。そして、同じくヒミコから得た不死種の特殊能力――【感染】も中々に恐ろしい能力だ。何たって、生きている者をゾンビのようにするという能力なのだから。この世界でのゾンビ映画の最先端を走りたくない俺は、この能力を封印したいと考えている。
ヒミコから頂いた能力で一番有用なのは、妖魔族の固有能力【透過】だろう。言わずもがなこれは建物と通り抜けられる能力である。今後使う場面も増えてくるだろう。
そんな能力を提供してくれたサイトゥ君とヒミコちゃん。サイトゥ君こそミナジリ領の力仕事に従事してくれているが、ヒミコちゃんは違う。何故なら既に魔界に向かって旅立っているだろうから。
そう、彼女は魔族四天王の【リッチ】に対し、任務
【混戦になり闇空間の魔法は消えてしまいましたが、作戦は成功。無事シェルフを支配下に置きました。是非視察にいらしてください】と。
何の疑いもなしに人界にやってくるのであれば、それはそれで良し。
動かずとも別の命令がある。こちらが動ける状態にしておけばいいだけの事。
貴族としての立場、魔族としての立場、半端者としての立場……色々大変である。
「ミケラルド様……お、お待たせ致しました! ゲミッド様が奥でお待ちです!」
ネムの言葉に頷き、俺はすっと立ち上がった。
案内している時のネムが、ちらちら振り返りながらこちらを見てきたので、満面のミックスマイルを送ってやった。真っ赤になるネムがもう…………たまりません!
◇◆◇ ◆◇◆
そんなネムを脇に、目の前に筋骨隆々の白髪爺さんが現れた。
何だこの怪物は? ランクS相当のモンスターだろうか?
そういえばシェンドの北門にこの爺さんもいたな。というかギルドマスターだったのか。
シェンドのミケラルド商店にやって来たのはディックだったから、てっきりリーガル全部の支部のギルドマスターをディックがやってるのかと思ってたが、そうではなかったという事か。
「ゲミッドです。普段はマッキリーにいましてな。用事がある時にしかシェンドにはいないのです」
なるほど、この人がゲミッド。
しかし、うーん……これが貴族の効果というやつか。
この爺さんのこの口調、違和感しかない。
「ミケラルドです。ゲミッドさん、私は貴族である前に冒険者。そしてここは我々しかいない場です。どうか楽に話してください」
するとゲミッドは目を見開いた。
「む、そうかのう。いや、かたじけない。相手が貴族ともなるとこちらも身構えてしまうのだ。許せ」
うんうん。慣れない事はするもんじゃない。身体に毒だ。
その巨体であぁも謙られると違和感しか仕事をしないぞ?
しかし俺はその後、少しだけ後悔した。
手を組み、ギルドマスターが堂に入ったゲミッドの何と迫力のある事か。
「では、詳しい話を聞こう」
わぁ怖い。
「以前ディックさんにお聞きしたのですが、貴族の領地内でも冒険者ギルドを招致出来るという話は本当でしょうか」
凄みのある視線がおっかないです。
「……先程ディックと直接話した」
なるほど、だから俺は小一時間も待たされたのか。
「ディックも、過去そういった話をしたと言っていた。しかし、その弊害についても話したとも言っていたぞ?」
「えぇ勿論。確か、領主と折り合いが付くことが余りなく、ギルドの設置の全てがメリットでない事も聞いています」
「それでも……という事か。ネム」
「はい」
ここでネムに代わるか。
「まず、ギルドの維持費用です。これらは依頼者がギルドに依頼した際の手数料で
「依頼自体が少なくなる。そういう事ですよね?」
「えぇ。そして、手数料だけで賄えない維持費は……その、申し上げ難いのですが――」
「――その領主が支払わなければならない」
補足という名の俺の解答に、ネムは気まずそうに頷く。
「具体的にはどのくらいの費用が必要になるんです?」
俺の質問に、ネムはゲミッドを見る。
これはおそらく口外していいのかという確認だろう。
「構わん。話を進める上で必要な事だ」
「ミナジリ領の規模がどれくらいになるのかはわかりませんが、シェンドの町を参考にお話します。シェンドの冒険者ギルドの維持費は月リーガル白金貨二百枚です」
およそ二億円。
この小規模な町でそれだけの維持費を必要としているのには、やはり訳があるのだろうな。
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