第54話 エピローグ

 コラボの仲間たちを見送り、実行委員の仕事へ戻ろうとしたところでポケットに放り込んであったスマートフォンが通知を寄越す。

 神奈川の乙女文楽の先生からのメールだった。明日の初演を見に来て下さるという。

 ――成功しますように。

 本番を明日に控え、私は祈るばかり。

 そして思うのは〝次〟だ。

 ――全国高等学校演劇大会。

 一ヶ月後に地区大会がある。優秀校は十一月にブロック大会へ進み、さらに選抜を突破できれば翌年八月に全国大会がある。コラボは長く維持することは難しいだろう。人形劇という形が評価の対象になるかさえわからない。高校演劇の甲子園と呼ぶべきイベントの水準は高い。

 演じてさえいれば幸せであるらしい南畝さんを文化祭の舞台にまでは連れてきた。私のエゴがもっと先へと彼女を連れ出そうとする。

 私たちの一度きりの青春の舞台へ。


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