第6話 布袋劇を見よう
「来た来た」
「お邪魔します」
お菓子と飲み物とテレビ布袋劇のディスクを持って集まったのは寮一階のミーティングルームだった。
「南畝さん、制服?」
「お約束しての集まりなのでなんとなく。おかしい……みたいですね」
「おかしくないよ。寮内は私服でも寝間着でも大丈夫ってだけ。まだ慣れない?」
「はい。ヨソにお泊まりしてる気分です」
ソファにきっちりと膝を揃えて座った南畝さんは育ちが良さそうに見えた。隣に陣取って数え切れないくらい観た番組を再生する。ディスク一枚分を観たところで一息を入れる。
「初っ端で美形のお兄さんが爆発したところ、仰天しました」
「あんな風になるとは誰も思わないよね」
「残虐なシーンもあるんですね」
「日本の時代劇よりも刺激的なシーン、多いかも」
「刀禰谷さんはお気に入りのキャラとかいます?」
「いるいる。ヒロイン!」
「そういえばお持ちのファイルもこのヒロインの」
「蝶や椿の飾りが最高に可愛くて。光の当たり具合で菫色だったり赤に近かったりする眼も素敵!」
「私は謎の白髪美男子かな。今のところ」
「あー」
「なんです『あー』って。待って。駄目です。先を言っては」
「えへへ。でも、嬉しいな。こういうの、ずっと誰かとやってみたかったんだよね」
「同好のお仲間、居なかったんですか」
「ぜんぜん」
消灯直前まで弾んだ会話は二年以上私が望んできたものだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます