第19話 そもそもなにを書けばいいのだろう

「なにを書けばいいのだろう」と考え始めている時点で、もう、なにを書くべきかという悩みには半分以上答えが出ている気がする。要は、書くのか、書かないのかということに尽きる。


 自分の書きたいことを書けばいい。




 なにを書けばいいのだろうと悩むことは、よくあります。どうして悩むのかというと、次のようなの原因が考えられます。


 ひとつ。

「こんな小説を書いても、読んでもらえないかもしれない」


 読んでもらえないかもしれませんが、それは書いてみないと分からないので、とりあえず書いてみましょう。読んでもらえなくても、腐る必要はありません。あなたはプロではないのだから。

 私は、そんな葛藤を抱えているあなたの小説こそ読んでみたいと感じます。


 ふたつ。

「ぼくが書いても、おもしろい小説になりそうもない」


 ひとつめの悩みより、よほどこころざしの高い悩みです。書きたいことはある、しかし、自分の技量ではそれをおもしろく描く自信がないという悩みですね。

 悩んでないで書くべきです。書いているうちにとてもすばらしい表現が思い浮かぶかもしれません。書かないで悩んでいても、アイデアは出てこないのだから、何はともあれ書き始めることが大切でしょう。


 みっつ。

「こんなものを書いていいのだろうか」


 いいです。

 書きたいものを書く自由が私たちにはある。これはすばらしいことです。諸手をあげて享受しましょう。

 Webメディアは、紙メデイアと違って比較的自由です。が――。いつまでも自由に書けるとは限らないんですよ。

  書いてはいけないものについては、第13話に書いてます。


 私が好きな作家さんたち(紙媒体で小説を発表しているリアルの作家さんたち)の、プロフィールやインタビューを読むと、彼らはとにかく書いてますよね。

 有名になりたいとか、ベストセラーを出したいとか、お金持ちになりたいとかいうのは少数派で(そういう人たちの小説は、私には魅力がないことが多い)、とにかく書いてしまうタイプの人が多い。


 そして、おもしろいことに、著名な作家であればあるほど、「小説を書くことが好きだ」とか「書くのはおもしろい」とは言わないんですね。

 好きだし、おもしろいはずですが、それと同じくらい、苦しくて辛いことがあるのだろうと思います。悩み、葛藤しない小説家はいないということを示しているようで、とても興味深いことだと私は思っています。


 だから、いいんです。悩みがあって。


 さあ、書き始めましょう。

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