第20話 もっと自由に

 カクヨムをはじめてから強く感じることがひとつあります。


 それは、みんな繋がりたがっている――ということ。




 レビューや応援コメントには、お互いに励まし、励まされ――し合っているメッセージがあふれていて、私のようなおじさんは軽く戸惑いを覚えます。


 私にとってカクヨムは、自分の書いた小説を公開して、その評価を確認するためのサイトなのですが、そういうメッセージのやりとりを見ると、ここは小説を投稿するためだけのサイトではないとはっきり分かります。ここは小説が好きな人のコミュニティサイトなのだと。


 小説を読むことは、極めて個人的な体験で、他人と共有するのは難しいと考えている私にはちょっと理解できない部分があります。


 小説を読む感動や、書く困難は、そう簡単に共感できるものではない。


 でも、こんな感想は、時代から取り残されつつあるおじさんの寝言かもしれません。


 なぜなら、カクヨムでメッセージのやり取りをしている人たちは、皆楽しそうです。生き生きと小説に関わっていて、小説を読み、書いています。すばらしいことだと思います。


「小説は読むのも、書くのも孤独な作業です」


 しかし、カクヨムのようなサイトを介して、作者と読者が繋がり合ううちに、「〜孤独な作業でした」と過去形で表されるようになるのかもしれません。




 小説は自由です。


 なにをどう書いてもいい。

 ひとりで作らなくったって、物語という形をとらなくったっていいかもしれない。作者と読者とのやり取りも含めて、ひとつの作品として評価されるようになるかもしれない。


 カクヨムを見ていると「小説を書く」ということが、いまその意味を変えようとしているように思えてきます。




 読む、読まれないを越えて

 小説はもっと自由になれそうです。

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