すきですきでしかたない!

ルヴ

第1話 すきですきでしかたない!

「うっ...。」

なんでこんなことになったのか。

手すりにしがみつきながら全力で非常階段を降りていく。

僕の下腹部からはおぞましいほどの血が溢れ出ていた。

逃げなきゃ殺される!

「ねえ!待ってよ!一生一緒に好き同士って約束したでしょ?」

背後で包丁を持った頭のおかしい女、もとい僕の元恋人が不思議そうな表情で叫んでいた。

「源氏くんがあたしの言うこと聞いてくれないから...。源氏君が居なきゃ生きていけないのに!」

背中を突き飛ばされ、僕は力無く前のめりにぶっ倒れた。

ニヤニヤした顔で女は表情を確かめるためか僕を仰向けにした。

「だからね?一緒に死の?ゆっくり殺してあげる。天国で幸せに、永遠に一緒に暮らそうよ!」

狂った女が僕に馬乗りになって包丁を振りかざす。

「源氏くん、大好き。」

痛みと恐怖と絶望感に苛まれながら自分を呪った。

刃が刺さるか刺さらないかの内に意識が遠くなっていった...。

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