第3話 狐と森の妖精
「人の子よ。名を何ともおす?」
「アイリス」
「よろしゅう、アイリス。わっちは
白い狐に名前を聞かれて思わず名乗ってしまった。狐も私が名乗ったからか自己紹介してくれた。ついでとばかりに私を抱っこしているオーガの名前教えてくれた。
白い狐はオーガの肩によじ登って、私の頬を二つある尻尾で擽る。
それがくすぐったくてクスっと笑うと狐はニンマリとほほ笑む。
「ビャクはフォックスなのになんでしゃべれるの?」
「フォックスと。吸血鬼みたいに呼ぶのぉ。まぁよい、人の子よ。お主は何故に話せると問われてなんと答える?」
「困る。私はもともと話せるから?」
「そうのう。わっちも昔から話せるからその理由を問われても困るのう。そうと紅鬼よ。人の子の為に果実やら食物を持ってきてやらんと思わんか?その間、わっちが面倒を見よう」
「そうじゃな。腹を空かせてるじゃろうに。ワシのとっておきの漬物を食わしてやろう」
オーガは私を切り株に座らせてどこかに去っていった。話を聞くに食べ物を取りに行ったそうだ。
オーガが去り、私と狐の二人きりになると思ったが小さな闖入者が現れた。
狐はその闖入者を見て少し疲れた表情をした。
「あー要約あの鬼いったぞ!」
「あの鬼本当に怖いもんね。怖くて悪戯して怒ったらと思うとオチオチ悪戯できないや」
「みんな見て!吸血鬼の女の子と思ったたら見ない顔だ!みんな見てよ」
「本当だ。人間の男の子は見たことあるけど人間の女の子は初めて見たよ」
「ええい、喧しい。静かにせんか。妖精どもよ」
狐が小さな闖入者に一喝するが火に油を注ぐように騒がしさが増した。
闖入者とは数人の妖精だった。
「ビャクちゃんそんなに怒らなくてもいいじゃん。そんなに怒ると皺が増えるよ」
「そうだよ。もう年なんだけら落ち着いてよ」
「わっちを怒らすのはお主らじゃろうに。邪魔じゃ!」
「ビャクはそういいながら私達を追い払おうとしないよね。本当は私達のことが好きなこと知っているよ」
私達の回りをグルグル飛び回る妖精達に対して白は鬱陶しいと言いながらも妖精達の好きなようにさせている。
「ウフフ」
妖精達と白のやり取りを見ているとアイリスが笑い、アイリスの笑顔を見た妖精達が嬉しくて騒がしさが増す。
「人間の女の子が笑ったよ。可愛いな」
「本当だ。泣いた顔も可愛かったけど笑った顔がもっと可愛いね。やっぱり女の子もあの鬼は怖いよね」
「お主ら紅鬼が聞いたら泣くぞ」
「そんなの嘘だよ。僕はあの鬼が泣くところなんか見たこと無いよ」
「そうそう、あり得ない」
妖精達が紅鬼ことを泣くはずが無いと笑いながら言うが白は紅鬼とは長い付き合いで妖精が言ったことを聞くだけでホロッと泣いてしまうような泣き虫な鬼なのだが妖精達は誰も知らないし、信じようとしない。
「人間の女の子はなんて名前なの?」
「私はアイリス、あなた達の名前は?」
「僕はセイン」
「オイラはヨウ」
「私はピシー。アイリスはなんでこんなところにいるの?」
「きっと鬼が拐って連れて来たんだよ。アイリスはどんな食べ物が好きなの?」
「みんなばかりずるいよ。僕にも言わせてよ。どんな遊びが好きなの?」
妖精達は名乗り終えると自分達が疑問に思ったことをアイリスに投げた。
「そんなに一辺に質問したらどこから答えていいのか分からないよ」
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