第5話 「迫ル壁」
この部屋は少しずつ狭くなっている。四方から壁と天井が迫ってきている。
「なぜ?」
俺はそう思った。ただ、いつものように生活をしていただけなのに。
何処からか外へ出たいが、玄関の廊下は部屋よりも狭く、通っている途中で挟まれる可能性がある。
引っ越しの内見で来ただけなのに、壁に押しつぶされそうだ。
俺は窓を突き破って外に出た。そこにはジオラマのように縮小していく世界が広がっていた。
壁が迫ってきていたのではなく、この世界の寸法がどんどん小さくなっていたのだ。ただ、この俺だけを残して。
「息が苦しくなってきた……」
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