第4話 「愛なき告白」

 考えてみてほしい。意中の相手に『好き』と伝えるよりも、受け付けない相手に『嫌い』と伝える方が遥かに難しい。

 もちろん、そんな事をしてもなんの意味もないし『態々する必要もない』という点がより一層その行為に対する罪悪感に拍車をかける。

 しかし、私はせずにはいられなかった。なにかに取り憑かれたように。

 私は校舎裏ではっきりと嫌いだと伝えた。あんな感情の動きは後にも先にもない。

 彼女からの返答は「貴方のそんなところが好き」であった。

 当時の私は激しく戦慄したが、彼女と結婚した今となっては、それもよい思い出である。

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