第42話 死人に口なし

「あーあ、これじゃ死人に口なしね」

女はニコリと笑っている。

ぐったりとたおれた男からは、呼吸の音がしない。

「なんて口の硬くて女の子の言うことも聞けない、強情で無愛想な男なのかしら。ヤダヤダ、ボスになんと報告すれば…いいのやら。」

女は男の体を蹴飛ばし、光の方へと歩いていった。

コツコツとモデル歩きのようにゆっくりと、そして艶めかしく歩いていった。

「お前さん言ってだだろう。」

突然、女の背後から声が聞こえギョッとして慌てて後ろを振り返った。

「バカは隙を見せる。」

男の放った銃弾は真っ直ぐに心臓を撃ち抜いた。

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