第33話 キマグレンアイ

「例えばさ」

彼女はツンっとそう言う。

「なんだよ」

僕は少しギグっとしてそう言う。

「私が君のこと…好きって言ったら?」

僕は少し考えて、不覚にも赤くなる。

「な、なんだよ急に…!」

「いいから!」

彼女の目は狼狽える僕を見ていたが、僕は目線を左に動かす。

「そうなんだって言うよ」

僕は少し冷静さを取り戻しつつ答える。

「そう、嫌いって言ったら」

僕は首を傾げる。

「そうなんだって言うよ」

「ふーん、つまんない。」

彼女は目線を僕から窓に移した。淡い雲の向こう側、ぐわっとせりだした入道雲が、くっきりとその姿を浮かべていた。

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