第21話 私の夕陽
その日、私は両手を空に伸ばしておりました。夕陽はどこにもありませんでしたが、ほのかに街はオレンジに色づいていました。私は微かに笑い空をやはり、手を伸ばしながら見上げておりました。ぱっと突然、なんの予告もなく、突拍子もなく私の目の前に夕陽が現れました。たまらず目を瞑ると両手が暖かくなるのを感じました。目を開け残像が治まるのを待っていると、橙色の丸い塊が見えてきました。それが夕陽だったのです。私は急いでそれを持ち帰り神棚の上にそれを飾り手を合わせました。その日から我が家は昼夜問わず夕方になりました。
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