第11話 人嫌い①

小さな頃から人が嫌いだった。人がとても怖かったからだ。だから、なるべく怒らせないように常に笑いながら今日まで生きてきたのだ。

空気を読んで、息を潜めて生きてきたのだ。


「あ、私、あんた嫌いだわ。うん。」


初めてのことだった。夕暮れの高架下、必死の思いで駆け抜けた一日の終わりに見知らぬ人にいきなりそう言われたのだ。


「だ、誰ですか!?それにいきなり嫌いだなんて…」


「お前、本気で人を好きになったことないだろ?」


「…それはまぁ、好きな人はいませんけど。」


「愛情もそうだが友情とかそういうの抱いたことないだろ。」

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