第10話 止まらない電車

目が覚めると私は電車に乗っていた。乗るまでの記憶はないし、辺りを見渡すと他の乗客の姿はなく、窓からの景色も田んぼと山ばかりの見飽きた懐かしい風景だった。


私は思い出した数分前に線路に飛び込んだのだ。仕事の疲れや人間関係の乱れから私の心はボロボロだった。その時にまさに、地獄への片道切符を受け取ったのだろう。

ふと、人の気配がして顔を上げると目の前にかつての親友がいた。

「雅美…!」

26の時にバンドで全国を制覇する夢を絶たれそれ以来連絡すらも疎かにしていた。

私は雅美も自分と同じ境遇だったことを知った。

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