第七話 2つ目の虹スキル
やがて虹色の光は収縮し、俺の中に吸収されていった。
俺はすかさず自分のステータスを確認する。
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ラグナス・ツヴァイト
Lv:2
筋力:GG
体力:GG
知力:GG
魔力:G
速力:GGGG
運勢:GG
SP:0
スキル:【レベルリセット】【天下無双】
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そこには天下無双という、これまた聞いたことがないスキルが追加されていた。
というか、俺のSPが0になっているのはどういうことだ?
いやいや、今はそれよりもこのスキルの効果だ。レベルリセットのように分かりにくい効果でないことを期待したいが。
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天下無双
1分間ステータスが向上する
使用後は元々のステータスが半減する
1日に1度だけ使用可能
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何だか一瞬とんでもないスキルのように見えるけれど、これはデメリットがすごいな。
たった1分間の能力強化の代償が元々のステータス半減なんて冗談でも使えるスキルとは言えない。
でもこれもあのレベルリセットと同じ虹色のスキル。このデメリットを覆す何かしら大きなメリットがあるのではないだろうか。
「天下無双……ですか。何やら強そうですが、どんな能力なんですか?」
彼女は俺のステータスパネルを見ながら俺に問いかけてくる。
「ん? 俺のスキルならお前も確認できるだろう? 自分のスキルの内容を確認するみたいにして」
「それが何故だか見れないんです。スキルの確認を念じても何も反応が無くて」
「使役者が確認できないスキル? 聞いたことが無いな」
「私もです。ちなみにもう一つのレベルリセットというのも確認ができませんでした」
虹色のスキルは本人にしかその効力を確認することができないということか。
仕方がないので、俺はこの2つのスキルについて彼女に説明をした。
「なんと言えば良いのか分かりませんが、癖が強すぎるの一言に尽きますね。ただ、このレベルリセットですか? あなたの言うことを全て信じるならば、もはや今までの世界の常識が覆るほどの代物です。レベルやステータスの価値が、全く無いと言っているようなものなのですから」
彼女の手は少し震えながら俺のステータスを確認している。
だろうな。俺も最初気付いた時は、その凄さに身震いが止まらなかったからな。
「そんな常識外れの奴を奴隷にしてみた感想は?」
「喜び半分後悔半分と言ったところでしょうか。仲間としてはこんなに頼りになることはありませんが、反面私の手には余るのではないかと」
「そんな奴を使いこなして初めて王族の器とも言えるがな。まぁ、兎にも角にもこれからよろしく頼むよご主人様」
俺は右手を差し出した。
「私のことはニナで構いません。えっと……ラグナス」
彼女はそれに呼応する形で、俺の手を取り握手をした。
「居たぞ! こっちだー!」
その時、俺の後方から俺達へ向け声が飛んでくる。
どうやら、見つかったらしい。リーゼベトの兵士たちの仕事の速さには感服する。
「ニナ、今レベルはいくつだ?」
「は、はい。21です」
少しばかり低いなと思う。俺と同い年ぐらいと考えると、それでも同年代の奴よりかは少しばかり高いのだが、何せ相手はリーゼベトの騎士団。最低でも倍は欲しかったところだ。
レベル2とレベル21が共闘したところで勝ち目はない。となるとこの状況を打破する鍵はやはり先ほど手に入れた天下無双。一か八かコレに賭けるしかない。
「ニナ、少しばかり失礼するぞ」
「えっ、えっ!?」
俺はニナをお姫様抱っこすると、天下無双を発動させる。
瞬間、俺の体には漲るほどの力が湧き上がる。そして、俺の体からは虹色のオーラのようなものが溢れ出した。
すかさずステータス画面を確認する。
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ラグナス・ツヴァイト
Lv:2
筋力:SSSSS+
体力:SSSSS+
知力:SSSSS+
魔力:SSSSS+
速力:SSSSS+
運勢:SSSSS+
SP:0
スキル:【レベルリセット】【天下無双】
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思わず頭が混乱した。いや、これ向上するとかいうレベルじゃない。
一番高い能力ってSじゃないのか? SSSSS+なんて見たことも聞いたこともないぞ。
「隊長、あそこです!」
俺はハッと我に返る。そうだ、こうしている場合じゃない。
「ニナ、落ちないようにつかまってろよ!」
そう彼女に投げかけ、俺は地面を蹴った。
瞬間、周りの景色がゆっくりと流れていく。何故か俺が通った後は衝撃波のようなものが周りに広がっていき、木々がバキバキと倒れていった。
追跡者から逃れるために、俺は尚も必死で地を蹴り続ける。どんどんと後ろの兵士たちとの距離が離れていくのが分かる。
気が付けば俺は森の外へ居た。だが尚も天下無双の効果時間は終わっていない。
できるだけ遠く、遠くと走り続けた結果、俺たちはウィッシュサイドまで戻ってきていた。
多分時間にして10数秒だと思う。まだまだ天下無双の効果が切れる気配がない。
1時間の道のりをわずか10数秒で戻ってきていたのだ。
そして抱えていたニナを見る。
ニナは何故か泡を吹いて気絶していた。
別に悪いことはしていないけれど、とりあえずごめんと心の中で謝っておいた。
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