アポカリプス②

「第四部隊、到着しました。侵入者はたった一人、数で抑え込め!」

 続々と駆けつけてくる緋色のローブの軍勢に足止めされ、ヴァルカンは未だにパレットの元へと辿り着けずにいた。

「くっ……敵が多すぎるな」

 いくら秘宝獣が近代兵器より強力と言えど、亀の秘宝獣とシビレエイの秘宝獣は、既に戦闘不能の状態で、残すはテッポウエビの秘宝獣一体のみとなってしまった。

「ここまでか……」

 ヴァルカンが諦めかけた途端、艦内全体が大きく傾いた。何かが衝突したようだ。

 外壁を突き破り、ピエロ顔のジェット機が猛スピードで突っ込んで爆発した。

「アタシのCIP効果ッ、『神鳥の守護』でバリアを張ったわッ……」

「死ぬかと思った……」

「あのピエロ、帰ったらシバき倒すのです……」

「……同感だ」

 煙が晴れると、黒城と青いひな鳥、乃呑、イヴが、艦内で大暴れを始めた。

「卿等は……、レイティング二位の『白銀の狩人』、レイティング一位の『独裁者』……。どうしてここへ……」

「お初にお目にかかるのです、レイティング三位、『霊界の使者』」

 彼らは互いに、通り名で呼び合っていた。

「何者だ、貴様ら!」

「構わん、撃て、撃てぇぇっ!」

「暗く深い絶望の淵、差し込んだのは一筋の光。開宝、ダムドレオ!」

「グルァァァァァッ」

「ひぃぃぃ、食われる……」

 黒豹の秘宝獣は、緋色のローブの一人を押し倒した。

【Sランク秘宝獣―ダムドレオ―】

「幸と不幸の半道に、差し込んだのは暖かな光。開宝、フェンネル!」

「アオォォォン」

「こいつら、化け物だぁぁっ」

 フェンリルの秘宝獣は、光の速さで場を制圧した。

【Sランク秘宝獣―フェンネル―】

 青いひな鳥は防犯カメラを見つけると、それに向かって叫んだ。

「パレット聞こえてるッ? 助けに来たわよッ」

 続けて乃呑とイヴも防犯カメラに話しかける。

「勝手に一人で背負い込んで、居なくなるなんて、許さないからね!」

「拘留中に抜け出すとは、帰ったらお説教なのです」

 そして最後に黒城が、微笑みながら言った。

「……帰ろう、陽光町に」

 ヴァルカンはその隙に、パレットのいるモニタールームへと向かっていた。

「逃がすな、追え!」

 緋色のローブの人物が数人、ヴァルカンを追っていたが、二体の獣が立ち塞がった。

「あなた方の相手は」

「私たちだよ!」

「かたじけない!」

 ヴァルカンは一足先に、モニタールームへとたどり着いた。

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