第4話

5日後。とうとう手術当日がやってきた。普通なら患者の身内しか入れない関係者席に頼み込んで座らせて貰った。手術は午前10時から午後3時までに及んだ。もしかすると亡くなってしまうかもしれない。

(もう二度と一緒に遊べないかもしれない。まだ遊びたい。まだあの声が聞きたい。生きてくれ)

関係者席には他にも2人来ていた。あの子の兄と妹だろう。時々2人から白い目で見られるが気付いていないように無視する。今はあの子の心配をするのが最優先だ。


手術室のランプが消えた。思わず声が漏れる。中から疲れた様子の執刀医が出てくる。兄と妹より先に駆け寄る。

「手術は……?」

緊張した空気が漂う。

「手術は成功です。これまでに無い良い出来ですよ」

張られた糸が緩む。自然に顔に笑みがこぼれる。

「ありがとうございます……ありがとうございます‪……」

奥からベッドに横たわるあの子が出てきた。駆け寄ってみると眠っている様だった。

「今日のうちは集中医療室に運びます。明日の午前10時頃に今の病室へ移動させますからお話はその時にお願いします」

看護婦がそう言っている時には兄と妹はいなくなっていた。

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