第21話 尊厳の回復

 親せきの子Yくん9歳。

 ママに褒められてた。

 ていうか、ママが実家でYくんの自慢をしていた。


「(合宿かなにかの)バスの中での自己紹介で、おもしろいこと言ってみんなを笑わせて、(合宿中も)とってもいい子だったって!」


 て、ママがうれしそうだったから、実家の母もわたくしも、ほほえましく見た。

 Yくんは、いつもより丁寧にコロコロコミックを読んでいた。

 落ちついてるみたいで、よかった。


 ママが認めてくれるってだけで、子供の心は満たされるものだ。

 よかった。

 小1から、ガミガミ怒られてしょげてたYくんはもういない。


「ちっちゃいときから、知識が豊富だから、周りの子に(一目置かれて)Y氏、Y氏って呼ばれてたんだけど……あだなは**ですって、自己紹介したらしいの」


 それはねつ造だな。

 ちょっと笑ったけれど、確かにYくんのことを**って呼ぶ子は約一名だが、いる。

 弟くんのRくん(2歳11か月)だ。


 Rくん、だいぶおしゃべりにはなったのだ。

 だけど、自分のことを「ぱぴ」「ぽぷ」って言ったりする。

 だからYくんのことも**って呼ぶことが多い。


 Rくんの名誉のため言うと、彼がぱぴぷぺ星人なわけじゃなくて。

 家のリビングに流れてる英語の歌とか、英語の物語が原因かもしれなくて。

 彼自身も英語まじりに話してる節がある。


「やめて」というとき、「ストピッ」って言うんだよね。

 何語かと思った。

「ストップ イット」と言いたかった模様。


 2歳と11カ月でバイリンガルかあ……Rくんすごいな。

 そして相変わらず、わたくしに殴りかかってくる。

 帽子でビシバシたたくの、やめて。

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