第3話 ロバの耳

 これは独り言だから、よそで言って回らないように。



 父は農大の研修生を一年ももたずに止めたそうだ。






 体力が持たなかったといっているが、学力も足らなかったと予想する。






 在家僧侶の資格? とるときの論文も娘のわたくしに書かせた。


 イマドキ200円で引き受けるゴーストもあったもんじゃない。





 何度も注文つけて、書き直しさせて、OA用紙がもったいなかったわ。


 取材をさせてと言ったのに、思ったように書きなさい、と知らんぷり。


 東日本大震災の跡地へ見学に行ったときの感想を書け、というから、いや、わたくし行ってないよ、父が書けよと言ったのに、わたくしに書け、という。


 わたくしは、なんかの便利な能力持ちではないんだ、ちゃんと話してと言ったら、うわべだけさらっと語る。


 どんな思いだったか書けというのだが、知らん。


 自分の思いは自分で書いてください。






 父はわたくしが思ったほどには、頭がよくないのではないかと思い始めている。





 イタイ、と言えば、ややイタイ事実。





 父のあほうは死ななきゃ治らん。

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