エピローグ:ゴールデンバイブレーションロックンロールチョコレート

チョコバナナを食した俺は自身の体調を気にしてみたが特になにか変化が現れることはなかった。


あれから数日間、ルナと会うことはなく、数日間の事は夢の出来事のように思え

た。


その後、俺は宮田にド直球で恋人がいるかを再確認してみた。


宮田は爽やかな顔を苦笑させながらいると答えた。


しかもそのいるという言い方も爽やかすぎてミンティアでも食べたのかよといいたくなった。


彼にはルナのことは話さず、そのまま追求することもなく終わった。


まあ、いつもの日常が戻ったと考えれば別にいいだろう。


そんなことを考えながらいつものように教室で机に突っ伏してうだうだしていると肩を叩かれる。


いつものように宮田なのかと顔を上げると底には違う人物が立っていた。


三つ編みに眼鏡で地味という言葉を体現しているかのようなおとなしい容姿の女子生徒。


俺の本能が危険信号を発していた。


他の生徒は正体を知らない。


目の前の女子生徒は変装したルナだ。


「あのハルヒコくんに用があってきたんだけど」


自分の学生服に手を入れながら言った。


なんだか嫌な予感しかしないぞ。


「いえ、ハルヒコくんならトイレにいきました」


俺は思わず嘘をついて目線をずらす。


「嘘、ここにいるじゃないですか」


ルナはガシッと俺の手をつかむ。


言葉こそ大人しく感じるが、掴む手は猛獣が獲物を掴むときの手だ。


周りの生徒が騒ぎ始める。


ここはマズい。


教室の外に出なければ。


「ならこれからおトイレに行かせてもらいます」


俺は素早く彼女の手を振り解き、教室の外に


早歩きで出る。


するとルナも追ってきて人目もはばからず、俺の肩をがっしりと掴む。


そこから動こうとするが掴まれて動けない。


なんて力なんだと思いながら前に進もうとした。


しかし、俺を前にむかせたまま、ルナは後ろで息がかかるくらいに近づき耳元でささやいた。


「お願いがあってきたの。 ちゃんと藁人形も持ってきたから」


俺は恐怖を憶えながら、振り向くと彼女は藁人形を手にしていた。


彼女は一歩離れると、にこやかに笑う。


「放課後、一緒に帰ろう?」


俺は大きな声で即答して走った。


「嫌だ、断る!」


どうやら俺には春が来るのは先らしい。


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