第2話
豪快な笑いというのはこういうのを言うのだろうか、けれど、厭味な感じは少しもしなかった。笑うと、笑顔も素敵だった。
ようやく笑いをおさえて、彼は言った。
「いいよ。でも、君、十分きれいじゃない」
そこから、彼との付き合いが始まった。もちろん、男女の付き合いではない。きれいになるためのレッスンだ。
あずみが少し意外だったのは、彼が女言葉をつかうと思い込んでいたので、ふつうの男子学生と同じように話すことだった。
それに、同性愛者的な雰囲気もなかった。なぜ彼が女装なのかは謎だった。
ときどきキャンパスですれ違うとき、あずみは目を伏せて、気づかないふりをしてすれ違うようにした。なぜか反射的にそうしてしまうのだ。彼は、たいがい他の男友達と数人で話しながら歩いていたが、それはごくふつうの友達のようで、心のどこかで期待したような、恋人どうしのようには見えなかった。いや、そもそも彼が誰かと二人きりで歩いていることの方が少なかった。たいがい、3,4人のかたまりだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます