第39話 冗談じゃあないわよ!そんな事を言うようなら校長も教頭もまとめて1日かけて説教よ!
先輩の話を総合すると次のようになる。
今日の放課後、掃除当番を終えた(本人が言うには今日は真面目に掃除当番をやったらしい)先輩が第二音楽室へ行こうとしたら、先輩のスマホに真壁先輩から電話が入った。
「もしもーし」
『あー、律子、直接あんたに話したい事があるんだけど、どこにいる?』
「まだ教室にいるよ」
『じゃあ、今から行くよー』
「待ってるよー」
5分もしないうちに真壁先輩は教室へ来たけど、先輩が言うには真壁先輩の表情はその時から非常に重かったらしい。
「・・・ちょっといいかなあ?」
「ん?もしかして好きな子が出来たから相談に乗って欲しいとか?」
「あんたは呑気でいいわねー、そんなレベルだったら律子じゃあなくて絢瀬さんに相談するわよー」
「わりーわりー。で、話したい事って何?」
「じ、実は・・・軽音楽同好会に廃部勧告が出た・・・」
「はあ!?」
その一言を聞いた先輩は教室中に響くような大声を出して、まだ教室に残っていた数名の視線が一斉に集中した。
真壁先輩がいうには、学校側から『活動実績の乏しい部・同好会は廃止すべき』として、軽音楽同好会が名指しされたらしい。
カズ先輩や絢瀬先輩、真壁先輩の三役が揃って抗議したから廃部勧告は撤回されたが、『過去3年間の活動実績がゼロに等しい以上、他の部や同好会と同じ予算を与えられない』という学校側の主張を覆す事が出来ず、活動予算の2分の1への減額を認めざるを得ない状況だというのだ。
「・・・たしかに、去年も一昨年も活動報告書に書かれた内容が『
「拓真君、冗談じゃあないわよ!そんな事を言うようなら校長も教頭もまとめて1日かけて説教よ!」
「ちょ、ちょっとアイ、落ち着いて!」
「これが落ち着いていられるかあ! (#^ω^)」
藍はいきり立って第二音楽室から出て行こうかという剣幕だったが、俺が右手、唯が左手を掴んで藍を抑え込んだから藍も落ち着いてくれたけど、藍は椅子に『ドカッ』と座り込んで、その後は不機嫌そのものだ。
琴木さんも椅子に座り、先輩は机と椅子を持って来てきたから俺は先輩の分のコーヒーを作って「はい、どうぞ」と手渡したけど、先輩は「はーーー・・・」と長ーいため息をついた。
「・・・そういえば、そこの1年生がメールに書いてあった子?」
「あー、はい、1年B組の琴木紬といいまーす」
「なーんか、体験入部早々、恥ずかしいところを見せちゃいましたね」
「いいえ、とんでもないですー」
先輩は苦笑いをして琴木さんに謝ったけど、琴木さんは右手を振りながら愛想笑いをした。でも、別に気分を害した訳ではなさそうだ。
「あのー、うちに入部する気は・・・」
先輩は恐る恐ると言った感じで琴木さんに聞いたけど、琴木さんはちょっと首を傾げたかと思ったらニコッと微笑んだ。
「べつにー、わたしは予算がどうーのこーのというよりー、放課後を『人生の無駄遣い』にしたくないと思っただけだからー、先輩たちさえ問題なければここで入部届けにサインしてもいいですよお」
「「「「それってマジ!?」」」」
「はーい、嘘は言いませんよー。ここに入部届けを持って来てもらっても構いませんよー」
琴木さんはニコニコして言ったから、さっきまで不機嫌そのものだった藍も機嫌を直して、というより、さっきまでの不機嫌さが嘘のような上機嫌だ。
「・・・とりあえず廃部勧告だけは免れたから、あと1人確保して第二音楽室だけは死守するしかないのかなあ」
「後輩君、そんな事ないぞ。これで取りあえず第二音楽室の確保は確定だよ」
「はあ?どういう意味ですかあ?」
「ようするに、君を我が軽音楽同好会のマネージャーとして準会員から正規会員に昇格させることを部長権限で認めてあげるから、あたしに感謝てくれよなあ」
「先輩!冗談も休み休み言って下さい!!何が何でも琴木さん以外の人を見付けて下さい!!!」
「背に腹は代えられないわよ!そういう訳だから後輩君、君を我が同好会専属マネージャー第1号として会員認定する!!」
「勘弁してくださいよお」
「またまたー、本当は『先輩、俺を会員にしてくれてありがとうございます!俺、一生先輩についていきます!』って言いたいんだろ?」
「わおー!平山先輩って結構大胆ですねえ」
おいおい、先輩も琴木さんもキャーキャー言ってるし、藍も先輩に同調して「拓真君、おめでとう」とか言ってるし唯も調子に乗って茶化してるし。
でも、本当は俺はマネージャーではなく別の形で携わりたいのだが・・・マジで勘弁して欲しいぞ!
はーーー・・・たしかに先輩の言う通り、予算はともかく第二音楽室を死守できれば良しとすべきだとは思うが、だいたい、何で真壁先輩が先輩に話を持って来たんだ?恐らく真壁先輩と先輩は同じクラスだから、真壁先輩が自分から嫌われ役を買って出たのだろうけど、本来は生徒会役員が言うべきではなく顧問の先生が言うべき・・・
あれ?
そういえば・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます