第40話 顧問は誰?
「あのー・・・1つ聞いてもいいかなあ」
俺はキャンキャン言ってる四人組に割り込む形で手を上げたから四人とも話を一時中断して俺に注目した。
「・・・あのさあ、こういう事は生徒会だけでなく顧問を交えて相談して決める事だと思うけど、だいたい軽音楽同好会の顧問は何をしてたんだ?」
俺が素朴な疑問を口に出したけど、先輩が「そういえば」と言わんばかりの表情で
「たしかに顧問の先生は何をしてたんだ?顧問として同好会を守ろうという考えがないのか?」
「せんぱーい、その前に、俺、この同好会の顧問が誰なのか知りませんよ」
「後輩くーん、名ばかり顧問だったのは事実だけど『さわちゃん』だよ」
「へ?」
「去年は琴吹先輩の担任だった中山先生だよ。な・か・や・ま・さ・わ・こ!」
「あのさあ、俺だって中山先生が顧問だったのは知ってるぞ」
「じゃあ、何でそんな事を言ってるんだ?」
「その中山先生は3月で
「へ?・・・ (・・; 」
「だーかーら、俺は中山先生の後任は誰なのかを聞いてるんです!」
「・・・・・ (・_・;) 」
おいおい、まさかと思うけど先輩は部長なのに後任の顧問が誰なのか全然確認してないのかよ!というより、中山先生が異動になったの事そのものを知らないとしか思えない!!明らかに態度がそれを物語ってる!!!しかも藍も唯も顔を見合わせながら「そういえば誰になったのかなあ」とか言ってるし、一体、この同好会の連中はどうしてここまで無頓着なんだあ!?
“トントン”
「たっくーん、お客さんだよー」
「拓真君!もしかしたら別の体験入部希望者かもしれないわよ!」
「そ、そうに決まってる!後輩君、すぐに呼んできなさい!」
「はいはい、そう言うと思ってましたよ」
「「「頼んだよー」」」
やれやれ、先輩も自分への矛先が不時の来客のお陰で和らいだからホッとした顔をしてるけど、それにしても『桜岡高校の
俺はそう思いつつも第二音楽室の扉を開けたけど、そこにいたのは想定外の人物だった。
「あらー、平山君だったのー?」
「な、南城先生!どうしてここに来たんですか?」
「いやー、お恥ずかしい話なのですが、君と唯さんに
南城先生はあっけらかんとした表情で言って封筒を3つ俺に差し出したけど、本来なら南城先生のチョンボだぞー。まあ、それを言っても始まらないけど。
俺は封筒を受け取ろうとして右手を差し出したけど、その時にふと思い出した。
「・・・あのー、南城先生」
「はーい、どうされましたかあ?」
「もし知ってたらでいいから教えて欲しいんですけど、軽音楽同好会の顧問の先生は誰になりますか?」
「あれ?平山君は御存知ないのですか?」
「お恥ずかしながら・・・」
「あのー・・・平山君の目の前にいますよ」
「はあ!?」
俺は思わず第二音楽室どころか旧校舎中に響くような声を出してしまったから、俺の後ろの方でお喋りしていた女子四人組のトークが中断したのが分かった。恐らく俺が大声を出した事で全員が俺に注目してるんだろうけどね。
「ひ、平山君、どうしたの?」
「な、南城先生は吹奏楽部の顧問じゃあなかったんですかあ?」
「あー、あれね。先生は中山先生とトレードみたいな形で桜岡高校に来たから、中山先生が顧問していた吹奏楽部と軽音楽同好会の顧問は両方とも先生が引き継いでますよお」
「それなら話は早いですけど、どうしてこんな大事な事を生徒会に丸投げしたんですか?いくら何でもおかしいです!」
「ちょ、ちょっと平山君、先生には意味が全然分からないですよお」
「それはこっちのセリフですよ!こっちは先輩が大騒ぎして駆け込んできたのに、顧問がノンビリすぎます!!」
「ホントに先生は平山君が言いたい事がぜんっぜん分かりませんよ」
「とにかく中に入って下さい!先輩が先生に直接話した方が早いですから」
俺はそう言って南城先生の左手を掴んで無理矢理第二音楽室に引っ張り込んで、そのまま俺がさっきまで座った椅子に南城先生を座らせた。
南城先生は座る時まで困惑した顔をしていたけど、先輩が話を始めた途端、その顔は困惑から驚きの表情に変わった・・・。
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