第32話

「リーレロック王、ようこそ我が国に、私は王を務めている。シエル・ロードロットです。以後お見知り置きを」

「てっきりあの子がやるかと思っていたがロードロット家の長女だったとは驚きが隠せませんな」


リーレロックは大胆に笑う


「あの人は政治に興味がないらしく私に王の座を譲りました。では交渉についておよびこれからについてじっくりと話し合いましょうか」

「そのつもりだ。若いからと言って手加減はしない」

「手加減? 政治にそんなものは存在しませんよ。小国だかと言って全力で来ないなら足元を掬って地面に頭を叩きつけますのでお気をつけて」


応接室にて国のトップ2人が対談する

その間クイナはシエルの側近として活動しているためクイナは私の特訓から離れている

数時間に及び行われた対談は両者ともに得のある条約を結び終了した


「……はぁ」

「どうした? 辞めるか?」

「いえ、続きをお願いします!」


銃を使って現英雄王と戦う

剣のリーチに入らない距離で撃っていると鞘に剣をしまい深呼吸をする

私は次の瞬間真っ二つにぶった切られる

銃弾は英雄王の顔を掠める

ギルドの地下にある訓練場で戦っている

ここは特殊な結界が張られているので外に音が響く事はなく壁も破壊できない為全力で暴れられる


「漸く傷を負わせられるようになったな」

「まだ擦り傷ですがね」

「それでも十分成長している。休憩するか?」

「いえ、やります」

「その気合いだ、全力を出すから俺に勝て」

「はい!」


全力の英雄王と対峙する

団長たちは今城壁の防衛をしている為訓練場には居ない

一瞬でも隙を見せれば殺される

私は戦うにつれて段々と強くなり高位種族である吸血鬼の力を発揮出来るまでになってきた

闇魔法、血操作を巧みに使い戦う


「疲れがもう来ない……」


訓練を終えて店で丁度一山越えたムクロと食事を取る


「それは重症ですね。私も手を貸しましょうか?」

「頼むよ……でも憤怒は怒らないといけないよね?」

「はい、怒らないとできません。ただ暴食は使えます」


暴食は特に何かが必要ではない為それを含め大罪内でも一番強いとムクロは言っている

本当なら憤怒だが怒りが一定を超えないと使えないという欠点がある


……怒らせようかな?


話しながら憤怒状態のムクロと戦いたいと考え怒らせる方法を考えるが出来るだけ後々の関係に問題が起きないような怒らせ方を考える

下手をすれば技術を持って他国に行く危険性がある


「研究は?」

「順調です。今はアサルトライフル?というのを研究してます。まさかルナさんが転生者とは思いませんでした」


ルナは転生者であった

前世が歳は二十代後半の女性で死んだ理由は全くわからないと言っていた

恐らく過労死とも

研究者で生物学を専門にしていたらしい

父親の方の英雄王はシドラという名を持っているらしい

名乗らなかったのは名乗るタイミングを逃したからと言っていた


「私は何となく勘付いてたからそんな驚かなかった……まぁ、年上のそれも研究者ってのは驚いたけど」

「ポーションについても軍事についても詳しいので助かります」


ルナは今ムクロやジギルの協力の元、研究に力を注いでいる

科学力は一気に成長して行っているのはルナの存在が大きい

勿論、ジギルやムクロなどの研究の仕事を全力で取り組んでいる者達の存在も大きい

食事を終えて研究所に戻るムクロの胸を後ろから揉む

大きさは大きくなく小さくない中ぐらいの大きさであった


……なかなか良い形してますな〜


私はムクロの胸を揉み続ける

ムクロが肘打ちで鳩尾を叩いてくる

私は蹌踉めく

ムクロの顔を見ると見る見ると真っ赤になって座り込んでこちらを睨みつける


……まだ怒らせるまではいかないか


私がそんな事を考えているとムクロが私の髪の毛を掴み引っ張る

かなり苛立っているように見える


「私の目を見なさい!」


言われるがままに間近まで来ていたムクロの目を見てしまう

意識が吸い込まれる感覚に襲われて私はムクロに惚れてしまう

色欲の全てを魅了する能力を掛けられてしまったらしい


「さっきの行動は何?」

「いや……それは」

「私を怒らせたかったからかな? ごめんね。私が怒るとこうなるの……貴女の心は私の物になった。一つだけ命令する」

「何でしょうか」


私は無抵抗でムクロの命令を聞こうとする

この状況では何を言われてもやってしまうかも知れない

前はムクロ側にも抑える気があったから冷静を保てたがムクロが本気になれば異性同性種族全て関係なく魅了される

それが大罪の一つ色欲の力である


「勝ちなさい! これから強くなり私を眷属にしなさい! 強くなっても私を置いてかないで」


ムクロは涙を零す

最後のは本心から漏れ出した言葉だろう

ムクロが置いてかれる事を嫌うのは家族に捨てられ昔の仲間に裏切られていたからである

ジギル達が仲間になった後は置いてかれないように無理してでも付いて行っていたらしい

強くなってほしいと願いながらも置いてかれる事が嫌なムクロは私に命令した

涙で色欲の力が薄まる


「分かった……置いてかないから私がムクロより強くなったら眷属にさせてね。必ず迎え入れる」


私はそう言ってムクロの涙を拭い微笑みかける


「それじゃ、特訓の続きをする」

「頑張ってください……応援してますから」

「応援に応えられるよう頑張るよ」


そう言って私たちは別れる

特訓の続きをやろうとギルドの地下に向かうとリアが立っていた


「おや? 今日は終わりのはず」

「1人でもやろうと思ってね」

「手伝ってあげようか?」

「お願いします」


リアが剣を抜き私が銃を抜き対峙する

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