第25話

火の玉の進行が止まり消えていく


……雷魔法!?


「国から見えるあれほどの魔法は見過ごすことはできませんし闇魔法で対抗しているところを見るに戦っているのがシャル様だと分かります」

「えっ? クイナこんな強かったの?」


クイナが私とラフィラの間に入る

先ほどの魔法はクイナの魔法のようだ


「口調が変わってますよ? まぁ、そちらの方が私的には違和感ありませんが……はぁ、何をすればここまで山を荒地に変えれるんですか?」


荒地になった山を見てため息をつく


「俺たちの戦いに巻き込まれた結果だ。悪く思うなよ」

「貴女、シャル様に何をしてるんですか?」

「……戦うもいいが魔力を使い過ぎたな。帰らせてもらおう」


高速で移動したクイナの蹴りを防ぎ炎で吹き飛ばす

空中で体制を整えて雷を落とす


「雷魔法 雷神の怒り」

「炎魔法 炎神の守り」


複数の雷がラフィラ目掛けて降る

雷特有の光と音が近くで聞こえる

連続でその音がするので思わず耳を塞ぎ目を閉じる


……雷自体は大丈夫だけどこれは流石に目や耳に悪い


炎の盾が雷を防ぐ

雷のようなタイプは気候にすら影響を及ぼすようだ

しばらく続いて雷が止むと同時に近接戦を行なっている

雷魔法の強みを生かした高速の連続攻撃を浴びせる


「龍人が人の国にいるとはな。不幸の象徴とされているのに」

「私はシャル様とリア様に仕えています。例え他人に何を言われようと構わない」

「ほう、それは良かったな。リア……あの英雄と同じ名前か偶然か必然か。別に良いか。俺には関係ない」


炎で吹き飛ばして翼で距離を取る


「感謝するぞ吸血鬼の娘、お前のおかげで俺は強くなれた」


感謝を述べてラフィラは立ち去る

クイナは追いかけようとするが私が止めると私の前に来る

鎧を解く前に脱ぎ捨てた服を着て鎧を解く


「助かったよ」

「ガルガロラスの討伐に行ったと聞いてきたのですがたった数日でかなり成長してますね。何があったんです?」


翼を使って帰路を辿る道中に聞いてくる


「ちょっとね、ガルガロラスの居る洞窟の暑さをどうにか乗り越えようとしたら強くなった」

「はぁ、よく分かりませんが強くなったのは良い事です。ガルガロラスはどうでした?」

「硬かった。なんとか時間掛けて隙を作って高火力の魔法で倒したよ」

「凄いですね。あっ、そういえばムクロちゃんが銃の疑似作成が完了したと言ってましたよ」

「早いね」


研究所の大体ができているらしくムクロも小屋ではなく研究所内で最大限の研究開発をしているらしい


……それは楽しみだなぁ〜


城壁をそのまま超えて研究所の方へ向かう

クイナは別のところへ行く用があり別れる

研究所の中に入りムクロのいる部屋へ向かう

案内板を見てムクロがいる場所が簡単にわかった


「ムクロ、専用部屋手に入れたんだね」

「だめでしたか? それならすぐに出ますけど」

「いや良いよ。ここで過ごしているのね。銃の完成を聞いたから来たけど」

「これです」


ハンドガンの形をしている銃を手渡してくる

ムクロが的を用意する

弾を入れて狙い撃つとしっかりと狙った場所に当たる


「おっ、すごいなぁ」

「今は量産出来るようにしています。魔力弾についてはまだ研究段階ですが」

「むしろこんな早く銃が作れるなんて思わなかったよ。流石ムクロだね」


褒めると嬉しそうにしている


「ジギル達も頑張っていますよ。仕事が貰えることなんてそうそう無いので皆張り切ってます。ガラガロラス討伐したんですね。解体ならギルドに行けば出来ますよ」

「ギルドに行けば出来るんだ。じゃあ行ってくる」

「分かりました」


部屋を出るとジギルとばったり会う


「おっ、ジギル」

「研究長か、今研究でポーションを作ってるんだが試作品飲んでみるか?」


試験管に入ったポーションを手渡される

緑色であまり飲みたいとは思わない色であった

しばらく見てジギルの方を見る


「毒?」

「ポーションだ! 元々ポーションはそんな色でな。兵士達が使ってたんだが妙に高くて冒険者が使えないって困ってたんだよ。それで出来る限り量産出来るようにするため研究してる。一応出来る限り素材を安くして量を増やしてみたが誰も試そうとしないせいで結果がよくわからん」


ジギルは他の人々に飲ませようとしたが全員に逃げられたらしくムクロに関してはポーションを的にしたらしい

ムクロ曰く『まずい飲み物は害あるもの、抹殺すべき』だと言う


「飲んだ?」

「あぁ、毒ではないけどまずい。回復こそするが飲みたくはない……ちなみに本家もここまでとは行かずとも不味いらしい」


ポーションを飲み吐きそうになる

不味いが疲れがある程度取れる


「不味い、ただまぁ効果はあるね……美味しくしようか。これ安くても売れん」

「だよなぁ〜、まぁ、続けるか」

「頑張れ〜」


後味最悪だが疲れが取れたという事もあり悪くはない


……大体の体に良いもの=不味いは三千世界共通かな?


研究所の外に出てギルドの方へ向かう

街中は賑わっている

露店も出ているが何かと雰囲気が悪い

店の一つに近づいて話を聞こうとする


「らっしゃい。何を買うよ嬢ちゃんってあの時のか」

「少し気になって、なんでこんなに賑わっているのに雰囲気悪い?」


私が聞くと周りを気にして小声で説明してくれる


「貴族達さ。王が死んだ後勝手に王が決まって機嫌が悪い……死んではいないが斬られた奴もいる」

「王は何を?」

「権力あるから下手に王でも無理なんだよ」

「そう、その串刺しされてる肉一つちょうだい」

「銀貨3枚だ」


銀貨を手渡して食べ物を買う

食べ歩きながら街を歩く


「おい、こっち来い。貴族が来たぞ」


1人の男性に言われてそちらへ行く

道のど真ん中を貴族が偉そうに歩いている

店のカウンターに避難していると男性が話し始める


「貴族のせいで俺たちの生活が制限されている」

「へぇ、貴族のせいでこんな雰囲気悪いんだ」

「何をする気だ?」

「まだ何もしない」


会話していると悲鳴が聞こえる

貴族が男性を切ったようだ

男性は倒れ血が流れている

子供を庇ったようだ

先ほど話していた店主が貴族の前に立つ


「もう我慢の限界だ!」

「はぁ? 調子乗るな平民が」


魔法を撃とうとする貴族の1人に殴りかかる

結構近距離にいた男性は魔法より拳の方が早いと考えたのだろう

貴族が吹き飛ぶ


「来いよ」

「処刑だ! 奴を殺せ」


貴族たちがそう言っても誰も動かない

魔法を放とうとする貴族を私が蹴る


「お前、どこに居た?」

「避難してたけど……誰でも良い!子供を庇った男性を助けなさい!」


私がそう言うと数人が動き男性と子供を保護して安全な場所まで移動する


「貴族に手を出せばどうなるか分からねえのか?」

「知らない、闇魔法 ブラックレイ」


手足を黒い小さな弾で撃ち抜く

血が流れ慌てている


「治安が悪くなっているのは何故かな?」

「さぁ? ただ一つ要因としては眠っていたからじゃない?」

「それなら私に責任あるね。この国で何をしているのかな? 君らは」


そこには巨大なハンマーを持ったシアが居た

目が覚めてから治安が悪くなっているのを知って相当機嫌が悪くなったようで傷を負って血が流れている貴族全員の首根っこを掴み引きずっていく

あの後に待つ物は説教なのか拷問なのか分からないが多分どちらにしろ無事では済まない事は確定している

シアが目覚めたのでもう好き勝手できなくなっただろう

この国の治安を維持するシアは昔から重要な立場にいるらしい


「怖えな」

「敵には回したくないかな? でもシアが目覚めたから治安は安定しそうだね」

「そうだな、さて忙しくなるぞ」

「店経営頑張りなよ〜」

「あんたも色々と頑張れよ」


男性と別れシアの後をついて行く

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