交渉
第13話
一通りの説明を終えて団長たちと作戦を考える
「防衛しようにも足りない」
「そこが問題なのじゃよ、あの戦争で膨大な犠牲が出た。次くるのはそれ以上の可能性を考えて他国から力を借りねば防衛は無理じゃろう」
「防衛ラインを下げても無理ですか?」
団長の中でも若い人物が手を上げて聞いてくる
ヴァーミリオンがそれについて答える
「無理だな。下げても兵の数自体は変わらない、予想出来る相手の戦力が多過ぎる」
「他国への協力要請は難しいだろう。この国は他国とそこまでいい関係ではない。それに援軍としてくる筈だった部隊も魔族に足止めを食らって撤退を余儀なくされたらしい」
……援軍来ればある程度の被害は抑えられたかな? 今となってはどうでも良いけど
過去の話をする場ではないので援軍の話はひとまず切るが他国との関係が良好ではないとなれば援軍は難しいだろう
出来たとしても少数でその上、この国に不利な条件を付けてくる可能性もある
「何故他国と仲が悪いのじゃ?」
「王が独裁国家を作ったからだ」
「独裁国家じゃと! 馬鹿なことをしおって、下手をすれば一生他国の援助を貰えなくなるぞ」
独裁国家は国家形成の方法としてはおかしくはないが下手に行動を取れば敵国を増やし他国の援助を得られない
その上で国民の不満が溜まり内戦が起きる
「それだけでもないがな」
「わかっておる。他国に協力をと行きたいのじゃが生憎と私は政治経験がないからのぉ、やり方がわからんのじゃ。主らはどうじゃ?」
全員首を横に振る
商人上がりの人もいたが政治については力添えできないらしい
……政治って何するんだろう? この姿だと取り合ってもくれなそう……いざとなれば吸血鬼カミングアウトじゃが……下手にやったらまずそう
吸血鬼を敵として見ている国もある可能性があるためバラした瞬間国を潰しに来られるかも知れない
「政治……交渉じゃないか?」
「交渉……武器や兵士は使えないから現在ある資源とこの辺の地域で取れる資源で他国が手に入りづらい物はある? 他には研究が進んでいるとかならば方法はあるのじゃが」
「……いやそう言う話は聞かない、資源もありふれた物しかないからここには希少資源はろくにない」
膝をつき露骨に落ち込む
……無理ゲーじゃな、希少資源すらないのになんで他国の援助を得ようとしない? 自己完結型のやり方は国際的にはよろしくないのじゃよ〜
「大丈夫ですか? ええっと」
「シャルレーダ……まぁ、言い辛いじゃろうしシャルでいいぞ」
「ではシャルさん、どうします?」
「どうするかのぉ? 誰かおらんのか?」
立ち上がり聞くが全員心当たりがないようだ
「知り合いには居ないな。他国と言ってもどこの国に交渉する気だ?」
「近く」
「一番近いのはエルドーダ……王の名前はリーレロック・ファニリアス、騎士団を自身で率いている。実力も俺たち団長クラス以上の力を持つ。あの国は軍事国家だ」
……脳筋王ねぇ〜、そう言う人に限って厄介なんじゃよ。軍事協力が出来ない以上資源だけでなんとかゴリ押したかったけど……まぁ、軍事国家の力は欲しい
素人ができる政治などたかが知れている
頭の回転が速い、周りを見る目がある、人の上に立つ力がある、人望が厚い、言葉に責任を持てる、カリスマがある、国を発展させるために努力をするなどなど様々な要素があるがこんな物は必要最低限のものに過ぎない
「王様に必要なのは揺るがぬ己の意思、破滅も良しとした絶対的な意思が無ければ国を動かす力など持たない」
「そうなのか?」
私の言葉に団長の1人が疑問に思っている
「さぁね、私はそう思っているだけじゃよ。他国に交渉したいのじゃが方法は?」
「直接貢物を持ちつつ交渉に持ち込む。二、三ヶ月掛けてゆっくりとやる」
「そんな時間はないのじゃが……貢物ってこの国何がある?」
私が疑問に思ったことを言ったら全員悩む
……えっ? そこまで無いの?
「食料?」
「資源、人」
「人は駄目じゃよ」
しばらく全員で考えるが思いつかない為妥協案出す
「私が取り敢えず鉱石でも積んでクイナを連れてエルドーダに行って様子を見る」
「そうか、こちらで鉱石を用意をしよう」
「結構高い奴を頼むぞ?」
「あぁ、任せておけ。話し合いは第一印象が大事だからな」
……駄目でも別ので挽回すれば良い
取り敢えず鉱山から得た鉱石をいくつか持ちクイナを連れてエルドーダに馬車で向かう準備をする
「なんで私が?」
「リアは念のために待機させて団長たちも知られていると思うから連れていけないのじゃよ。私のようなロリっ娘1人だと信用ないでしょ?」
見た目について話す
吸血鬼というところを除けば銀髪の幼女が王に面会など出来ないだろう
ロリコンでもない限り
クイナはフードを被りツノを隠している
「それで私ですか、まぁ、シャル様1人よりはマシですね」
「じゃろ? 戦闘になったら私がやるからクイナは大人しくして居れば良い。あの国の命運は私達の手にあるのじゃから失敗は許されない」
「はい、分かってます」
大役を任された覚悟決めて交渉をするためにエルドーダに向かう
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます