第9話
龍人の子が回復魔法をかけられている
「ところでシエルは?」
「シエルは魔族の攻撃を受けて意識不明」
「生きているなら良いがちとばかし敵討ちはせねばならんな。さっき魔族のような存在にあったのじゃが」
魔族のような存在に会ったと伝えると驚いて心配してくる
……吸血鬼を心配とは面白いのぉ
「会ったの! 大丈夫だった?」
「問題ない。一週間経たずに帰ってきた理由だけどリア、説明よろしく」
「は〜い」
龍人の子に回復魔法をかけつつリアが説明をする
興味深そうに説明を聞く
「なんと、では数千年間特訓をしていたと言うことかな?」
「そうじゃよ、この口調もそのせいじゃ。古き英雄に勝たねばならないというので数千年経ってようやく一勝したのじゃ。数日前とは姿が同じであれ中身は違うぞ?」
「普通なら精神が壊れそうだけど」
「意外と壊れなかった」
数千年間のことについて話したり地上の数日間で何があったかを聞く
魔族の戦争以外は特に何もなかったらしいが他国が変な動きをしていると噂はあるらしい
らしいと言うのは噂や聞いたことなので本当かどうかは定かではないからである
「あの魔族がどのくらいか分からないから何も言えないけれども私たち2人で勝てる」
「なんの魔法使ってきた?」
「炎魔法 ファイアーブレス」
「城壁を攻撃した魔族だよそれ……他に来るのがどれくらいってのは分からない」
……これだと作戦も立てれない。面倒じゃなぁ〜
来る数も強さもわからない以上細かい作戦を考えることは難しい
数十個野作戦を考えても通じる作戦は数個だろう
今この国は情報戦において魔族に負けており戦争では劣勢に陥っている
「冒険者は城壁内の死守、それ以外は特にすることは無いかな? 三日後までに結界でも張る?」
「不可能、この国を囲むには相当の魔力や時間が必要になる……今からだと間に合わない」
「城壁周辺は闇蛇に警戒させるとして敵陣に突っ込むも良いかも知れない。防衛戦だけで戦力を削り切るのは難しい、やるなら徹底的に叩く」
……銃はお預けかのぉ〜、残念じゃが強くなった力を試すも良いかのぉ
魔族を相手に強くなった力を試したいと考える
ダンジョンでは実感こそあれどどのくらい強くなったかなどはイマイチ分からなかった
「少し散歩でもするかのぉ」
ギルドを出て城壁を抜け散歩する
下手な混乱を招かないようにちゃんとフードを付ける
ボロボロの城壁を兵士や冒険者が修復している
豪華な服を着た人物が偉そうに指示を出している
……貴族かな? 面倒な事には巻き込まれたくはない
関わらないように素早く移動して森の中を散歩する
特に理由もなく歩く
魔物の姿も魔族の姿も見えない所からして国破壊の作戦でも考えているのだろう
魔族は何故人を狙うのか聞いていなかったが大体は予想出来る
「ここも戦場になるのじゃな、出来れば自然を傷つけたくはないけれども戦争ならば致し方がない」
視線を感じ視線のする方向を見ると先程とは違う魔族が木の上に立っていた
「魔族? 何用」
「……ここから先は我々の領地、踏み入れれば殺す」
「了解、安心したまえ。入りはしないのじゃよ」
「踏み入れずとも殺すがな、水魔法 ウォーターブレス」
水を飛ばしてくるので回避する
勢いのある水が木を砕け散る
……ウォーターカッターじゃな
「何故攻撃をするのじゃ?」
「敵は殺す当然だろ?」
「いや、私からすると対話をするのが普通じゃな」
もう一度水を飛ばしてくる
回避して接近し魔力を込めた拳を振るう
軽々と回避される
拳の当たった木は粉々に砕ける
「それ程の力を人が持つとはな。まぁ、我々には及ばない」
……単なる魔力を込めた拳なのじゃが、まぁ、誤解してくれるのは助かるのぉ
着地を狙って魔法を放ってくる
「水魔法 ウォーターバレット」
水の弾が空中に出現して私めがけて飛んでくる
全弾避けて相手の出方を伺う
全弾避けられた事に気付き魔族は焦りを覚える
「水魔……」
「鉄拳制裁!」
接近して拳を振るう
魔族が寸前で躱し距離を取る
地面に当たり地面が揺れて着地の瞬間に魔族はバランスを崩す
崩した瞬間を逃さずに拳を振るう
攻撃は魔族の目の前で停止する
「防御じゃな」
拳を戻すと同時に蹴りを繰り出すがそれも防がれる
連続で攻撃を仕掛けるが水の盾で軽々と防がれる
……もう少し込めるかのぉ
魔力を更に込めて攻撃をすると水の盾にヒビが入る
魔族は驚き水魔法で攻撃して距離を取る
接近を試みるが水魔法で邪魔される
魔族は舌打ちをする
人間相手に切り札を見せたくなかったのだろうか露骨に嫌そうな顔をする
「人間にこれを見せる事になるとは思わなかったな。死ね、水魔法 水神の逆鱗」
大量の水が流れ辺りの木々を巻き込んで私に襲いかかる
回避の為に空中に移動するとそれを待っていたかのように龍の形を象った水が私目掛けて襲い掛かる
薄く全体に魔力を流して防御を行う
この戦いで闇魔法を見せないように出来る限り魔力だけで防ごうと試みる
空中にいたせいで水の勢いに抵抗出来ずに流される
魔力で水を飲み込まないようにバリアを張る
……ぬっ、中々に厄介な
このままでは城壁の方に攻撃が届くのではないかと考え咄嗟に城壁の方に闇魔法を展開してブラックシールドで激流を防ぐ
ギリギリで激流を防ぐ
水の勢いに身を任せ流される
バリアを突破してくるほどの火力はなくただ流されていく
かなり遠くに流されたようで古東の草原近くまで来ていた
……これで死んだと思ってほしいものじゃな
「全く気まぐれの散歩も出来ぬとはやることが無くなるではないか」
城壁の方にはまだ激流が流れている可能性もあるのでしばらくこの場で待機する
あの魔族が私の生存を確認したらすぐに襲い掛かってきそうな勢いがある
魔族は人間を下に見ているようだが正体が吸血鬼だと分かったらどう反応をするのだろう
「闇魔法 …………」
私は謎の言語で魔法を使う
その言葉の意味を私自身も知らないがただ一つ分かることは言葉を理解してはいけないという事ただそれだけ
この魔法は修行中に魔法陣をいじっていた時に見つけたもので魔法の効果は一定範囲内に存在する生物を恐怖で釘付けにすることができる力、例えどんな生物でも恐怖というものが存在しない者は誰も居ない
もっとも生物が恐れて畏怖する物それが恐怖である
今の範囲は数キロでここからなら城壁付近がギリギリ届くので街の中には被害は及ばない
問題点が範囲内にいる生物全てに影響があることで使い勝手がかなり悪い
水使いの魔族の場所には届いただろう
今頃理解が出来ない程の恐怖を味わっている事だろう
例え人々に影響があったとしても私の仕業と気づかないから問題は無い
「私が良ければ全て良し、私はエゴイストじゃからのぉ〜。魔族なんかよりよっぽどたちが悪い」
クククと笑い笑みをこぼす
……三日後が楽しみじゃ
そろそろ激流も引いただろうと考え帰路を辿る
城壁の方まで水は来ていたようで冒険者たちが臨戦態勢に入っている
城壁の中に入りそのまま通り過ぎる
魔族の攻撃が来ないという事はしばらくすれば気付くだろうと考え敢えて動揺を誘わないように言わない
やる事が無くなったのでギルドに戻す
今の状況だと依頼もろくに受けれないだろう
やる事があるとしたら国に直接話しをしに行く事くらいだが冒険者はいい立ち位置なのか分からない為シアに聞きに行く
「冒険者って国に話し行けるような立場かの?」
「う〜ん、難しいかな? 冒険者は国に属しているけど自由を目的とするから上とは話せないかも」
少し悩んで答えている
ギルドは基本的に国に属してはいるが軍事協力などをしない為国と仲はあまり良くない
「ギルド長と古き英雄と私で行けば話を聞かざるおえない状況に持ち込めるかも知れないが得策とは言えないがのぉ〜」
立場を利用して国に交渉を持ち込もうと考えるがシアに無理だと言われる
「どうだろう。私や古き英雄ことリアさんは平民生まれだから貴族や王族が相手にするとは思わない」
「吸血鬼って平民生まれ?」
「君の場合は例外だからよく分からない」
シアは苦笑いをして答える
……誤魔化せないかのぉ、私は貴族の嗜みを知らぬから無理か
「貴族、王族は強い?」
「人の中では高い魔力を有するよ。上位に入る人なら1人でもかなりの戦力になる」
「へぇ、今回も出るんじゃろ?」
「多分全員じゃないけど出る」
……全員じゃないじゃと?
シアの言葉に引っかかる
自分の国が危機にあるのに全員が出ないとはどう言う意味だろうか?
他国に自分の戦力を見せるのが嫌だからなどと言った理由だったら戦争参加しないで終わるまでその辺ぶらついていようと決めつつ王に会いに行く
「……という訳で私は王に会ってくるのじゃ」
「ちょっ、話聞いてた? 冒険者や平民の話は聞かない」
「聞かぬなら聞くまで叩こうホトトギス……と言うわけじゃ」
拳を握り交戦の意思を見せる
「それ絶対改変されているのね? そんな物騒じゃないよね?」
「鳴かぬなら殺してしまえホトトギス? じゃかもあったぞ?」
「君の世界物騒だね」
「戦乱の世の話じゃがね」
ギルドを飛び出て王のいる城に向かう
城の方へ歩いて行くと兵士が慌ただしく走り回っている
私に気付かずにぶつかりかけた数人を避けて王のいる部屋に向かおうとするが城内で道に迷う
城の中は広く道がいくつもあり迷子になってしまった
「困った……下手に人と会いたくないのじゃがなぁ」
キョロキョロしながら王のいる部屋を探すが一向に見つからない
歩いていると怒号が聞こえてくる
「……何をしている! 魔族など追い払えば良いだろうが!」
「こちらの兵力では……難しいです」
「冒険者があるだろう! 報酬をくれてやるのだ命をかけてこの国の為に戦うのが当たり前だ」
……何このお馬鹿は? まさか王とは言わないじゃろ?
話を立ち聞きして呆れため息をついていると兵士にバレる
「何をしている!」
「面倒じゃな、ここは王の部屋か?」
「反逆者か!?」
「いや、違うぞ? だがその反応は王の間という事かのぉ〜違くとも王はいる」
兵士の反応を見て王がいると分かり堂々と中に入る
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