キョンハルワンライ「眼鏡・サングラス」
「もう少し立ったキャラが欲しいのよね」
部室でまたいつものように妙な事を口走るハルヒ。相変わらず他の3人は何も言わないので疑問を呈するのは必然的に俺の役目になる。
「何だキャラってのは」
「キャラはキャラよ!そろそろ私たちSOS団の活動もかなり認知されてきたと思うのよね。でも何か足りない気がして考えてたら出てきたのがキャラってわけ。妙案でしょ?」
俺が聞いたのはアイデアの発現場所ではなく、キャラの意味なんだが。
「察しが悪いわね。各個人の属性って事よ。漫画なんかじゃそれぞれの登場人物に個性的な特徴がよくあるでしょ。そろそろ私たちにも変化が必要なのよ」
宇宙人に未来人に超能力者なんざこれ以上ないほど特徴的だと思うがね。シルク・ドゥ・ソレイユ顔負けの色物オンパレードだ。まあ以前ハルヒに話したがまるで俺が悪いモンでも食ったみたいな雰囲気になったしな。そこの認識がすっぽり抜け落ちてるから俺とハルヒの間で団員達への見方が異なるようだ。しかし当の本人はSOS団設立当初に付けた団員達の属性もろくに覚えてはいないだろう。ハルヒの飽きっぽさは折り紙付きだ。古泉なんかは元々謎の転校生という扱いだったが、今じゃそんな話はどこへやら。結局謎でも何でもなかった上に時間が経ち自然と転校生という肩書は同級生に変わったしな。今は単なる胡散臭い笑顔の張り付いた顔がまあまあ良い優男で、団長様のイエスマンだ。ハルヒは朝比奈さんのことをドジっ子だと思い込んでいる節があるが、彼女は単にハルヒの傍若無人に振り回されている時は自信がなさそうに見えるだけで本人は至って正常だ。ロリで巨乳の萌え要素などとたわ言を述べながら拉致してきた時からが彼女の悲劇だ。長門に至っては無口キャラらしいがほぼ置物状態だ。少なくとも俺以外の全員は何かしら特徴的な物がある。俺は至って平々凡々とした善良な一般男子高校生だ。というかそうでないと困る。ただでさえ他生徒から妙ちくりんな集まりの1人として奇異の目で見られているんだからな、これ以上変な要素を足されてたまるか。
「SOS団はこんなところで燻っているべきじゃないのよ。更なる変化、更なる高みへ昇るのよ」
その高みから広まるのは悪評ばかりだ。それは悪目立ちというんだぞ。
「でも変化と言えば有希は知らない間に眼鏡やめたみたい。無い方が可愛いからオーケーだけどね」
珍しく趣味が合いそうだと思ってしまった。長門は自分の話題が出ても我関せずと読書を続けている。
「そうだキョン、有希の代わりにあんたが眼鏡キャラなんてどうかしら。多少は知的に見えるんじゃない?」
余計なお世話だ。
「というわけで色々用意しました!各々好きなものを試してみてちょうだい」
そう言ったハルヒが机の上に置いた段ボール箱には量販店で買ってきたような小道具が詰まっている。
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