キョンハルワンライ「パロディ・パラレル」

天下泰平のこの日ノ本で読本作家として細々と食い扶持を繋いでいた俺の目の前に、そのお転婆は唐突に現れた。

―――

「長門の有希」

お有希とやら、お前さんところの屋敷が勝手に使われようとしているんだが構わねえのかい?

「大事ない」

―――

「エスヲヲエス団と名付けたわ!」

何だいそのなんちゃらってのは。犬が変なもんでも食ったみてえな名前だな。

「お有希から教えてもらったのよ、エゲレスとかいう国の言葉らしいわ。なんでもあの子は南蛮の偉い大君に習った学者なんだって。色んなこと知ってるわよ」

それでどういう意味なんだいそりゃあ。

「市井を大いに盛り上げるための涼宮春の団よ!権現様の御代にはそのエゲレスから来た人間が仕えていたそうだし、これからは何でも新しい事を始めないといけないの」

のっぴきならねえや。

―――

「お初にお目にかかります。キカン寺から参りました一樹と申します」

キカン寺?聞いたことがねえや。それになんだってんだその頭は。生臭じゃあないのか。

「親鸞聖人の下に帰依し得度を受けた身なれば」

ああ真宗かい。

「博識ですな」

―――

「おいお春よあんまりのしゃばり出るなよ、お未来さんがたまげてるじゃねえか」

「仲間になったからには文句は言わせないわよ!」

「うう、どうぞ堪忍してくださいまし・・・」

つれないねえ。

―――

「物の怪や変化の類を探すのよ!」

そうそういたらたまらねえ。

「大江戸八百八町よ、探せば天狗や鬼の一匹や二匹見つかるでしょ。それじゃあ明日、午の九つに水茶屋の前で。来ないと打ち首獄門だから!」

癪の虫が暴れないようにしなくちゃあならねえ。

板付は御免だからな。

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