第2話
いまはまさに夏休みっ!
ひがな一日ポコちゃんをストーキングしていた主人公だったが、幼稚園バスが通りかかったので、ついよそ見をしてしまった。
――園児バス。
それは幼女好きなら誰しも憧れる禁断の車両。幼女の花園だ。こればかりは乗りたくても乗ることができない。たとえ園児の両親といえども搭乗を許されないサンクチュアリ。
このプラチナシートに搭乗できる資格を有するには、運転手になるか保夫になるかしかない。しかも保父では毎日乗れるとも限らない。狙うなら運転手だ。
いつか園児バスの運転手になってやる。勉造の野望は底無しだった。
いまはまだ、外から指を咥えて眺めるだけの高値の花である園児バス。その魅惑溢れる車両に気をとられたからといって、誰が勉造を責められよう。イヤできまい。
園児バスの中には勉造好みの幼女が沢山乗っており、彼の股間レーダーが振り切れて、あわや破壊されかねないくらい強烈な刺激だったのだ。
だが、何事にもリスクはつきものだ。
ヨダレを垂らして園児バスに魅入っていたおかげで、勉造は肝心のポコちゃんを見失っていた。これは痛すぎる失態、大失態だった。
「くっ、この勉造ともあろうものが。一生の不覚うぅっ!」
道端で慟哭する勉造。電柱に拳をぶつけ、皮がずる剥けるまで打ち付ける。不覚をとった自分への戒めである。だがそれだけでは足りない。もっと自分に罰を与えなければ勉造の心は晴れそうにない。
勉造はズボンのチャックを下してチンポを剥き出しにすると、千切れんばかりに引っ張った。ただでさえあり余っている皮がビロビロに伸びてゆく。このままでは一生包茎だ。
「こいつめっ! こいつめっ!」
不甲斐ないチンポを痛めつける勉造。完全に自暴自棄になっていた。
もしも自分が見失っている隙に、ポコちゃんが他の変態にいたずらされでもしたらと思うと、勉造はいてもたってもいられなくなり、胸を激しく掻きむしるしか術はなかった。
「ポコちゅわああああぁぁぁん!」
絶叫する勉造。そこへ……。
「なにがあったかしらないけど、そんなに自分を責めないでっ!」
勉造が振り返ると、そこにはセーラー服姿が眩しい美少女中学生の真咲ちゃんが、額に汗を流して立っていた。
汗でしっとりと湿った髪が肌に張りつき、汗をかいて濡れたセーラー服から、うっすらと乳首のポッチが見え隠れする。
真咲ちゃんはノーパンだけじゃなく、ノーブラだったのだ。
並の男なら一発で落ちるシチュエーションだが、幼女しか愛せない勉造にとっては、真咲ちゃんの魅力も、路傍の石ころ同様に、どうでも良い存在でしかなかった。可愛い娘だなとは思ったが、食指はこれっぽっちも動かない。
「なんだ君は。放っておいてくれ! これはけじめなんだ。不甲斐ないボクを罰する聖なる儀式なんだ。邪魔しないでくれ! う、ううっ……」
勉造はそういってチンコの皮を引っ張り続ける。
理由はわからなかったが、ストイックなまでに自分を苛み涙する勉造に、真咲ちゃんのハートがぶるぶる震えた。子宮がうずき、乳首がビンと立ってしまった。直情型の真咲ちゃんは、ムラムラと沸き上がる感情を抑えることができなかった。
そう。それは恋。甘酸っぱく芳醇な青春のリビドー。
「好きです。そんなあなたにフォーリンラブですっ!」
真咲ちゃんは問答無用で勉造に抱きついた。
「な、なにをするんだ君!」
「真咲、あなたに惚れちゃいました。真咲を抱いてください。あなたのオチンチンで、真咲の処女膜を突き破ってください!」
「や、やめてくれ。ボクの純潔はポコちゃんのものだ。それに君は、見たところ中学生じゃないか」
「最近の中学生は発育いいんですよ。真咲、脱ぐとすごいんですよ!」
「ばか! 『育ち過ぎている』と言ってるんだ。ボクは小学生以下じゃないと萌えないんだよ。正確に言うと初潮を迎え、赤飯を炊いた娘に興味はナッシングッ! OK?」
「そんなひどい! 真咲こんなに愛しているのにいっ!」
勉造の非情な言葉に、真咲ちゃんは瞳をうるうると潤ませ、今にも泣き出しそうだ。
「愛してるって、いま会ったばっかりじゃないか」
「恋に時間は必要ないんです。もう直感でわかっちゃったんです」
「なんてこった! とんだ電波さんじゃないか!」
「ちがうもん。真咲は電波なんかじゃないもん。宇宙の巫女さんなんだもん!」
ぎゅうううっと勉造を抱きしめる真咲ちゃん。その締め付けはアナコンダに勝るとも劣らない。勉造の身体からミシミシと骨が軋む音が聞こえ、口からはカニのように白い泡が吹き出している。
「やめっ! 死ぬ、死ぬ、死んじゃう、死んじゃ、しぬ、し、ぬぅ……」
完全に失神した勉造。真咲ちゃんはそんな勉造を軽々と抱き上げると、もと来た道に向かって走り始めた。
ガンバレ真咲ちゃん。ファイッ!
「博士、博士! 急患ですっ!」
ドアを蹴破ると、ブリッジをするようにそり返りながらチンコをしごく中浦和博士の痴態が飛び込んできた。
「もう! 博士のへんたい!」
真咲ちゃんは肩に担いでいた勉造を中浦和博士に向かって投げつけた。
その刹那、中浦和博士のチンコから大量のスペルマが放出され、勉造の全身に降り注がれた。ベトベトになって床に転がる勉造。
「やーん博士。わたしの彼になんてことするんですかー。もう!」
プリプリと怒る真咲ちゃんを尻目に、中浦和博士は床に転がっている勉造に視線を送った。
「こいつは誰だね? タカヒロはどうしたのかね?」
ぐったりと横たわる勉造は虫の息で、ヒューヒューと怪しい呼吸をしていた。
唇は紫で、チアノーゼを起こし、瞳孔はもうすでに開きっぱなしだ。
「さっきそこで偶然出会ったわたしの運命の人です。でもっ! でもっ! なぜか今にも死にそうなんです。助けてください博士」
ヤバげな状態の勉造の瞳孔を覗き込み、脈を取る中浦和博士。もちろん全裸のままだ。チンポからは残り汁がポタポタと滴っている。なんとも情けない格好だった。
「ムムム、こりゃいかん。もう完全に手後れだ。手の施しようがない。こうなったら警察に見つからないように始末するしかない。早速ドラム缶とコンクリートを手配しよう!」
「そんなっ! 博士の薄情者っ! ウソツキッ! トンキチッ! 白ブタッ! ウンコッ! 博士は天才だからなんでもできるって言ったじゃないですかー!」
「ワ、ワシにだって、できないことくらいある……(MMRのキバヤシ風に)」
「いやー! しんじゃいやー!」
半狂乱になった真咲ちゃんは、持っていた金属バットを振り回し、プレハブの研究所を破壊し始めた。
こうなったらもうしばらくは手がつけれない。
中浦和博士の研究所がプレハブである理由がここにあった。もうすでに五回以上、真咲ちゃんに研究所を破壊されているのだ。
中浦和博士は破壊活動を年中行事のようにぼんやりと眺めながら白衣をつかみ、ポケットから煙草を取り出し一服を始めた。
建物が半壊したところで、ようやく真咲ちゃんのパワーが落ちてきた。その瞬間を見逃さず、中浦和博士が言い放った。
「真咲ちゃん聞き給え! いまのままじゃ蘇生は非常に難しい。だが、改造人間としてなら生き長らえるかもしれん」
「ほ、ほんとうですか博士!」
バットを振る腕を休め、真咲ちゃんが向き直る。
「ああ、本当だとも。イチかバチかやってみよう」
ぐっと親指を突き出す博士。その親指は人差し指と中指の間からニョッキリと出て、上下にヒクヒク蠢いている。なんかいやらしい。
「ありがとう博士!」
真咲ちゃんは嬉しくて、踊るように金属バットを振り回し続けた。その結果、研究所は全壊した。
真咲ちゃんハシャギすぎ!
一方その頃、月の裏側では……。
「ようやくできたべ」
「ようやくだな。やけに時間かかったじゃねーか。何が一日あれば完成するだよ」
「しょうがないべ。元々資材が少ない上に、これだけ巨大なものを造るのには、それなりの時間がかかるべさ」
「ふん。まあいいさ。これでいよいよこの星も終わりだな、おい!」
「侵略用ジェノサイダーマッシーン。メカポコちゃん。こいつはすごいべ」
宇宙船のハンガーに吊るされたロボットは降着状態のため、体育座りをしているように見えるが、その外見はポコちゃんそのものだった。全裸のその身体には継ぎ目ひとつ見当たらない。
いまは機能停止しているため、人形のように見えるが、一度活動を開始したら、人間のそれと変りなく動作し、人間を遥かに凌駕した性能を誇る殺戮マシーンと化すのだ。
「いてこましてやるべ」
「ぶっちめてやるぜー!」
メカポコちゃんの胸のハッチが開き、異星人が搭乗する。再びハッチが閉じると、メカポコちゃんに命が吹き込まれる。
「じゃあがんばって殺戮してこいや」
「てっ、てめえは行かねえのかよ!」
「オラはここからサポートするだよ」
衛星軌道上に停止した宇宙船のハンガーからメカポコちゃんが投下される。
まるで某有名ロボットアニメの大気圏突入のように、大の字になって降下するメカポコちゃん
危うし地球。危うし日本!
中浦和博士の研究所は一見粗末なプレハブで、今となっては全壊してしまったが、その本体は地下にあった。
「手術は性交じゃ!」
メスとドリルを持った手をゆっくりと下ろし、中浦和博士が呟いた。
「成功ですか?」
「もちろん性交したとも!」
「博士、せいこうの漢字が……」
「おおいかんいかん。どうも最近欲求不満ぎみでな。センズリばっかりコイてるから性交がしたくなったようだ。ちょっとヘルスにでも行ってこよう。そうそう、手術は成功だ。安心したまえ!」
「ありがとう博士」
おびただしい血の量と、溢れかえる贓物に囲まれて異臭を放つ地下手術室で、真咲ちゃんと中浦和博士は手を取り合って喜び合った。
「とりあえず真咲ちゃんの希望通り、脳みそと舌とチンコは生身のままだ。後はもう殆ど機械の身体だな。全身これ武器と言っても過言じゃない。サイボーグ××4も真っ青のスペックだよ」
「博士最高。素敵っ!」
「そう、彼こそは人類最後の切り札。ファイナルソルジャー、ザ・メンだ!」
「ザ・メンってどういう意味ですか?」
「ん? ワシのザーメンを浴びて誕生したようなものだからな。ちょっともじってみたんじゃがどうだろう?」
「なんか格好わるいですよそれ。どうせなら真咲ぞっこんラブウォーリアーズにしましょうよ」
「ひとりしかおらんのに複数形はまずいのじゃないか?」
「大丈夫です。これから増えるんですよー」
「なんとっ!」
「それはそうと、彼の本名って分かりませんか?」
「真咲ちゃん知らないのかね?」
「はい!」
「……とりあえず脱がせた服の中にあった生徒手帳には御手洗勉造とあるな。隣町の中学生のようだ。真咲ちゃんと同じ歳だよ」
「きゃん! やっぱり運命だったんだわ。おない年って相性いいんですよ。とっても!」
「そうかね。それはよかった。あとは無事目覚めてくれれば良いんだが……」
そんな不毛な会話を行っている矢先、
「うわあああああああああああああああああああ! なんじゃこりゃ!」
勉造が目覚めた。彼は真っ裸の自分の姿に驚くと共に、目の前に広がる自分の贓物の山に驚愕し、動揺していた。
うろたえるな勉造。立ち上がれヒーロー!
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