2.wikiなど読まぬ
「FNファイブセブン」はその名が示すようにライフル仕様の5.7m口径の弾丸を叩きだす。
初速の数値は忘れたが、この異世界にはwikiが無いので分からないのですわ。おほほほ。
ワシは金髪を揺らめかせ、疾走。
次なる標的は、貴族学校なる極めて理不尽で、何を学ぶのかさっぱり分からぬ。
狂った設定の学校への突撃だった。
そもそも、中世ヨーロッパ貴族の師弟教育は家庭教師によるものが中心であり「学校なるもの」が無かったわけではないが、神学やら医学やら特定ジャンルのものであったのであるなぁ。おほほほ、とワシは思う。
「FNファイブセブン」の優れた点は、重量が全弾装填しても1キロに満たないことである。
強化プラスチックを大量に使った漆黒のボディはエアガンのように軽い。
軽いがゆえに疲労も少なく、射撃時の反動を減らすため、NATOのライフル弾としての標準口径の細い弾を使用しているという合理性をもった銃であり、ワシはその合理性が好きだった。
「3発消費したので17発か……」
弾数を確認するが、兵器は次から次へ生み出せばいいのよ。おほほほ。
と、思考の一部がワシに教える。
確かに、それはその通りであり、人を殺すには拳銃でも十分であるが、学校という建物を破壊するには、ある程度の破壊力のある兵器が必要かなとワシは思うのであった。おほほほ。なんてことかしら。
ワシは貴族が集まるというのに、安全確保や警備の概念が一切無い、貴族学校に突撃した。
廊下でいきなり、クラスメートにエンカウント。
「どうしたんだ? イザベラ」
「パーン」
乾いた音をたてFNファイブセブン。
5.7mの高速弾が脳天をぶち抜き、白い
空気に触れた血が泡立ち、生臭い臭いを空間にぶちまけた。
貴族学校はパニックになったわ。おほほほ。
ワシは銃弾を撃ちまくり、次々とクラスメートを血祭りに上げた。
ワシの婚約者であったイケメン王子はおらんかったので、殺せなかったですわ。おほほほ。
「さあ、次は学校を完膚なきまでに、焼き払い破壊して、ペンペン草も生えないようにしますわ。おほほほ」
ワシはふわりと長い金髪を揺らし、外に出る。
生徒が少ない割りに無駄に豪華な校舎なので、どうするかワシはちょっと考えた。
「ここは、デイジーカッターならどうでしょうか? おほほほ。校舎にはそれで、十分ではなくって?」
ワシは髪を手ぐしで後ろにやって、デイジーカッターを呼び出す。
手のひらではなく、高度2000メートル。
アメリカ軍が開発し、実戦でもベトナム戦争で使用実績のある大型爆弾をチートの力で呼び出す。
名前は忘れた。wikiが無いので調べようがないのだけども、それは出現する。
確か、火薬の充填量が6.8トンあったはずですわ。おほほほ、と思った。
爆弾は虚空に出現すると、位置エネルギーを運動エネルギーに変えるという物理法則に従い、貴族学校に落下。
巨大な火柱を上げ、半円形の衝撃派を伴った爆焔が広がっていく。
貴族学校なる、社会学的にも理不尽存在は、木っ端微塵となり、残骸だけが炎につつまれる。
後にはゴミのような残骸と、焼けた大地だけが残った。
「おほほほ、爽快ですわ!」
ワシは、次のターゲットをどうするか、沈思したのであった。
まあ、どうせ皆殺しなのであるけども。おほほほ。
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