第6話 神獣王と武器

私が涼音を見ていると急に光が収まった。涼音の痛々しい傷は治っていたが涼音は傷が治る前と変わっていた。髪は白くなっていて頭には狼みたいな耳が乗っていた。腰あたりにもモフモフな尻尾があって完全に獣人族の姿だった。


「カワイイ………」


私は無意識にそう言ってしまった。涼音は美少年で女顔だから仕方ない。私がじっくり涼音の顔を見ていると涼音がゆっくりと目を開けた。私は吃驚して少し距離を取ってしまった。


~涼音視点~


俺が目を開けると視界いっぱいに月音の顔があった。すぐに驚いて月音は後ろに下がったみたいだけどな。俺も驚いた。ていうか恥ずかしかった。月音の顔を見てみると赤くなっていた。月音も恥ずかしかったんだな。


「良かったよ。涼音が無事で」

「?」


月音は安心してそう言った。顔も安心した顔だった。そういえば俺はドラゴンに襲われて攻撃を受けたんだったな。それで怪我したから月音が心配してくれたのか。


「心配してくれてありがと。月音が治してくれたのか?」

「違うよ。私じゃない。行き成り涼音の体が光って収まったら治ってたんだよ」


へ?如何いう事?何で俺は光ったの?それに何で光っただけで治るんだし。俺が何でか考えていると月音が言いにくそうに言ってきた


「涼音。獣耳ケモミミになってるし尻尾も生えてるよ」

「え?」


俺は目を開けた時から髪が白くなっている事には視界に入って来るから気づいてたけどまさか獣人になっているとは思わなかった。


ホントか如何か自分で触ってみないと信じれなくて何時は着いている筈の耳を触ろうと顔の横に手を持って行って耳を塞ぐように触ったら耳が無かった。それに耳が塞がれてる時に聞こえる音じゃ無かった。


それでもまだ信じたくなかった俺は頭の上に手を持ってきて獣人なら耳がある筈の場所を手で触ると確かに髪とは違う感触が伝わってきて音も触って擦れる音が聞こえた。


それで俺は獣人になっている事を認めるしかなかった。序でに尻尾も触ることにしたので手を後ろに持って行くとフサフサした感覚が手に感じた。

何で俺は獣人になってるんだ?


『マスターは獣人になったわけではありませんが種族が変わった理由は女神様がマスターに行った力の引き出しが原因です。前に言ったと思いますが力の引き出しをすると種族が変更されます。マスターは神獣王になります。ですが種族では神獣族になりますね』


俺の種族が変わった理由は分かった。そういえば言ってたな。思い出したぞ。それから神獣王?何それ聞いた事ないんだけど。王城の図書室でも見た事無いぞ?


『神獣王とは神獣や神龍の頂点に立つ存在です。世界に1人(匹)しか居られません。神獣や神龍は神獣王の眷属になる事は憧れでもあります』


なるほどね。でも、神龍より神獣王の方が上なんだな。知らなかったし、想像もつかなかった。神獣王って言うくらいだから人の姿と違う姿にもなれたりするのかな?


『なれません。マスターは元が人間ですので人の姿のままです』


なるほど。確かに俺は人だったからな。今は違うみたいだけど俺は今まで通り人として生きていくぞ。そういえば俺の種族が変わったって事はステータスが変わってる筈だよな。力の引き出しが成功したんだから。



【ステータス】

名前 神桜涼音かみざくらりお15歳

性別 男

種族 神獣族

レベル 1


HP:S

MP:S

攻撃力:A

防御力:B

速さ:S


魔法

火・水・風・地・氷・雷・光・闇・空間・無


スキル

・魔眼

・剣術1

・刀術10

・気配察知1

・魔力操作7

・偽装10

・二刀流

・縮地10



確かに種族が変わってんな。スキルもちゃんと増えてる。気になるのは俺が元々持ってなかったスキルレベルがMAXになってること。何でレベル1からじゃないんだ?


『引き出したマスターの力はそのくらいのレベルだったって事です』


そうなの?まぁいいか。俺のステータスは分かったから今度は月音のステータスを見たいな。お願いすれば見せてくれるかな?


「月音。ステータス見せて」

「いいよ!」


俺がお願いすると月音は即答した。この世界ではステータスって個人情報みたいなものだろ?即答出来るものじゃないだろ。



【ステータス】

名前 五十嵐月音かがらしつきね16歳

性別 女

種族 人族

レベル 1


HP:S

MP:S

攻撃力:S

防御力:A

速さ:S


魔法

火・水・風・地・雷・光・闇・無


スキル

・剣術10

・鑑定10

・偽装10

・気配察知10

・危機察知10

・魔力操作10

・魔力察知10

・縮地10



メッチャ強いじゃん。俺って月音に攻撃力、防御力負けてるの?他は同等だから10回戦ったら10回負けるじゃん。守ってもらおうかな?まぁそんな冗談はさておき早くレベルを上げなきゃ月音に守られてる事になるそれは嫌だ。


俺は月音のステータスを見た後周りを見渡したらキラキラしすぎて目が痛かった。何だ此処?全然気づかなかった。俺は立ち上がって何があるのか見てみる事にした。


「如何したの?」


俺が急に立ち上がって歩き出した事で月音が少し驚いたようにそう言った。月音も俺の後に続いてきていて俺と同じ様に周りを見渡していた。月音も気になるようだ。


「気になったからな。暫く分かれて見てみようぜ」

「そうだね。気になるもんね!」


俺がそう提案したら月音も賛成してくれて分かれて見て回る事にした。見た感じ出口無いしな。見ていると色々なものが見つかる。俺が最初に見つけたのは自分のメイン武器に出来る武器だった。



神刀 白桜しろざくら

レア度:S


一度壊れてしまったが神力で直した刀。壊れることも切れないものもないと言われている。


魔刀 夜桜よざくら

レア度:S


一度壊れてしまったが魔力で直した刀。壊れることも無く切れないものもないと言われている。



俺が見つけていいと思ったのはこの二刀だった。勿論持ってきている。他にも"魔剣エクスカリバー"ってのもあった。普通は聖剣じゃないのかよ。月音に見せてあげる様に持ってきた。


刀以外にも見つけたものがあるんだよな。それはネット小説とかに良くあるアイテムを沢山入れる事が出来るアイテムボックスだ。でも俺が見つけたのは腕輪タイプ。メイによるとこの世界では腕輪タイプか指輪タイプしかないそうでアイテムリングと言われているらしい。


丁度いいからこれに俺が持っている武器を全部仕舞おう。服も如何にかしないといけないけどここにはやっぱり服とかは無かったからここにあった魔法使いとかが来てそうなローブを貰っていくことにした。月音の分も一応貰っていこう。


暫くして月音と合流した。月音もアイテムリングを付けていたけど月音のは指輪型でネックレスにしていた。月音は思った通りローブを見てなかったみたいで俺が持ってきたものを渡した。


「すっかり忘れてたよ。それより涼音はどんな武器にしたの?」


月音からそう聞かれた俺はアイテムリングから白桜と夜桜を取り出した。白桜は鞘、刀身、柄すべてが白く夜桜は鞘、刀身、柄すべてが夜空の様に黒い刀だ。


「俺が選んだのはこの二刀だよ。月音は選んだのか?」


俺は月音が聞いてきたように月音の選んだ武器が気になって聞いてみた。まぁ理由はそれ以外にエクスカリバーの為でもあるんだけどな。俺がそんな事を考えていると月音は何時の間に出したのか左手に剣を持っていた。


「私は此れを選んだよ。この剣は何か魔法剣って言うやつみたいで何か魔法使えるんだって」

「俺、それよりいい剣見つけたんだけど」


月音が自信満々に言うのでそれを聞いて俺はそう言ってアイテムリングから魔剣エクスカリバーを取り出して月音に渡した。月音がどんな反応するか楽しみだ。


「なにこれ!?魔剣エクスカリバーって聖剣じゃないの?!」

「如何?使ってみない?」

「そうだね。こっちの方が使い使い易いね」


俺はエクスカリバーをメイン武器にしないか聞いてみたら月音はエクスカリバーを使って素振りをしながら答えた。如何やらエクスカリバーを使ってくれるみたいだけど名前が気に入らないようで微妙な顔をしていた。

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