生まれてきて幸せだった。
「プレリュード」
とにかく生まれてきて幸せだった。
わが夜明けは目前に近づいた。
悟らなければ、生まれてきて幸せだと思えない。
二元性の快苦の鎖を引きちぎって、人生にじかに直面する勇者。
ううっ。死への道が見える。
生きるのが重荷だ。
悦楽は死を欲する。
われわれが安らぎを欲してるその場所は、母の子宮のようで、全身の力を吸い尽くすあの黒龍。
アステカの暗黒の神々よ復活せよ!
「インテルメッツォ」
君の欲動というのはない。
欲動は普遍だ。
「君」は消える。
ただ安らぎの大海のなかに。
もう隠せない。
もう戻れない。
もう守れない。
もう夜明けが来たよ。
すぐそこだよ!
死に際しては死ぬ力すら失われているのだ。
「グランフィナーレ」
ああ!罪深いわが歴史が走馬灯のように!
個人的なことなどどうでもいい。
いや、全ては個人的なことだ。
普遍性とは、個人的なことが全て明らかなことなのだから。
詩人がついた嘘は詩人に災いとして降りかかる。
ここからは正直になろう。
私は、一人の仏陀だ。
頼りない葦にもすがる一人の罪深い仏陀である。
私は、仏陀失格だな。
私が生きた人生は、神人一体や、山河自然との合一などではなく、一人の罪深い人間の人生であった。
全身に傷を負って、父なる神よ!、あなたの家の扉の前に倒れる。
「lalita仏よ。通りなさい。」
という声がして、扉が開いた。
重度の社会不適応者で、プライドだけ高く、たくさんの罪を犯してきた一人の男が、今、仏になった。
彼は悟ってなんかなかった。彼は狂人だった。
だが、彼の愛だけは本物だった。
君に野心に汚されてない愛がひとかけらでも残っていれば、その愛が最後にあなたを救うだろう。
最後に残ったのは、愛であった。
私が、昔、若いころ生きた愛の人生が走馬灯のように、一枚一枚ページをめくるように現れた。
それは、一枚一枚が、かけがえのない輝きに満ちていて目に英知の光をもたらすのだった。
9年前最後まで戦って得た真実を広めてみんなに分かち合いたくて戻ってきたんだ。
みんなに広めていくうちに、いつの間にかお高く留まる気持ちは消えて、すっかり俗に染まり、こだわりは薄れ、地に足をつけた。
9年前、愛を貫いて解脱したとき、真実を得て天狗になっていた。
今は、いろんな具体的なことにチャレンジして、あるがままを見れるようになった。
9年前は、「賭ける」ということをしらなかった。
男が少年から、大人の男になるには、賭けることを知らねばならぬ。
身の程を知ったので、人とのかかわりの中で、自然と自我が肥大してない安らぎを周りの人も感じ取り、
周りの人も、安らぎの気分に感化されていく。
安らぎとは、低次の中庸平穏や、感情的安心ではないし、精神力の我慢比べの平安でもない。
愛によるくつろぎですらない。
それは、ありのままに物事を見る力に基づいた我の脱落である。
行列のできる霊感商法のおじさんは、目の前の人の気持ちを読むのは下手でした。
一流ビジネスマンのお兄さんは、いろんなビジネス上の知恵はあっても、肝心の我の脱落というダイナミックな解決法を知らず、失恋自殺の少女が愛してたのは自分であり、本当の愛を知りませんでした。
これも全て、母カーリーの笑いでした。
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