第2話 先発17:21普通・町田山行き

 1983年冬、高校生の沙良は赤森線の鹿原駅で白い息を吐きながら、電車を待っていた。高校がある鹿原駅からは電車で45分の町田山駅が、沙良の家の最寄駅だ。沙良は、時刻表を確認した。下りの欄で普通列車。現在時刻は17:17。早く電車のヒーターにあたりたい沙良は、時間が早くすぎるように心の中で祈った。

 雪がしんしんと降る中、力強いヘッドライトを照らした列車がやってきた。沙良は、座席の下にヒーターがある席を探し、それに座った。ごろり、と音を立て、車輪が動いた。どんどん加速し、駅はすぐに見えなくなった。沙良は、斜めに流れていく雪とひっそりとした街を眺めた。

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