第14話 王様、お願いだから来て下さい

無事に猫人間達を懲らしめた俺達は早速劇場の建設に取りかかっていた。

「この木はここで、それはあっち」

「はーい」

ボブの指示の下、劇場が組み立てらてゆく。

「カナ、衣装の作成は順調?」

「任せて。最高に素敵な衣装をつくるから」

「オッケー! 頼むよ」

「王様にお声がけしてきなよ。照明や音響はやっておくから」

「ありがとう、ガボ。それじゃあ劇をやることを伝えてこようか」

だが、王様の部屋に向かう途中でとある問題に気がついた。

「そういえば、王様は次に城に入るときに魔王を倒していなければ刑に処すと言っていました」

「あーそういえば」

「じゃあ、俺たちはここでおしまい?」

「そうなるね」

「えー嫌だよ」

「じゃあ、魔王の死骸が大きすぎて運べなかったことにしよう」

「劇場に置いてきたってことにするの?」

「そう」

「ばれないか?」

「魔王が復活して姿を消したことにすれば大丈夫」

「大丈夫かな・・」

「なんとかなるでしょ」

かくして王室に到着。

「王様にお目通り願いたい」

「良いですよ」

相変わらず軽いな

「王様、魔王を討伐して参りました」

「なんと! で、死骸は? 持ち帰ったのか」

よくよく考えてみると、死骸なんて要らないよな。ネクロマンサーかこの王様。

「魔王があまりに巨大であったため、死骸は劇場において参りました。つきましては王様に劇場までご足労願いたく存じます」

「えー嫌だ」

急に駄々をこねるな

「そこをなんとか」

「だってーモンスターは怖いよ」

ぶりっこするな。おじいさんのロリータキャラは求めてないから。

「お願いします!」

「怖い~」

「駄々込めるの止めろ!」

「ー需要ない?」

「よそでやって」

「ー分かった。行くとしよう」

「ありがとうございます。では、ご案内致します」

「あの劇場でございます」

「うむ」

「死骸をご覧に入れる前に、王様に劇場をご覧頂くために集まった仲間を紹介いたします」

「ファッションデザイナーのカナです」

「建築家のボブです」

「演出家のガボです」

「死骸を見るだけなのにわざわざ集め、劇場を建築したのか?衣装や舞台裏まで整備するとは」

「はい。王様をお招きするためには劇場も最高のものをと思いまして」

「ふむ。ご苦労様であった。この者達には手厚い待遇をしよう」

「ありがとうございます」

「魔王などいないではないか」

「どうやら、再生能力があったようですね。

お気をつけて下さい。まだ近くにいます」

「なんだと!?」

「ふはははは 」

「何だ⁉️」

ドラムが鳴り、黄色い王冠と鬼が描かれた仮面、紫のマントをつけたモンスターが現れた。

「魔王です! 」

「小さくないか?」

「再生の代償でしょう。王様は我々がお守り致します」

「魔王、覚悟!」

俺達が使っている武器はボブさんが作った偽物。魔王は安全です。

しばらく戦いが続く。

「魔王、とどめだ!」

「ぐはー!」

魔王は死んだふりをした。

「ご覧下さい王様。魔王を討伐しました」

「うむ、見事であった」

魔王討伐を祝う宴が終わった後、俺達は魔王に会うために劇場に戻った。

だが、魔王の姿はなく1通の手紙が置いてあった。

『皆へ。私が魔王であることは王様も知っているためこのまま国に居続けるとはできません。なので私は旅に出ます。今までありがとうございました」

俺達は涙を流した

「魔王の馬鹿!王様は、お前が魔王だって信じていないじゃないかよ~!」

こうして俺達の冒険は幕を閉じたのであった。

エピローグ

ここはとあるペットショップ。

「もう、レオ、遅いよ!」

「ごめん、お待たせ」

「じゃあ、行こう?」

「うん」

「あっ、いたよ」

「いたね」

「久しぶり、魔王」

「キュウ」

店員さんに声をかける

「すみません、この子を下さい」

「申し訳ありませんが、会計は集中レジでお願いします」

END















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魔王を討伐しに行ったら劇団を組むことになりました 女神なウサギ @Fuwakuma

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