第13話 女王様

「さて、どうするか」

「魔力が足りなくて変身できません」

「仕方ない。門番がいるけど強行突破しよう」

かくして猫人間二人と対峙する。

「あっ、勇者様ですか?」

「そうです」

「すみませんが、お引き取り願います。今は工事中でして」

「工事?」

「実はこの城は全てチョコレートで出来ておりまして。夏場は溶けてしまうので修復しているのです」

「そうですか。では、失礼しました」

「また日を改めてお越し下さい」

「どうする?」

「帰るわけにはいかないだろ。裏口を探そう」

少し探すとすぐに見つかった

「よし、潜入開始」

が、すぐに警備兵に見つかった。

「お前達、勇者だな?」

「すみません、マタタビを差し上げるので見逃してください」

猫人間はしばらく睨んでいたがやがてのどを鳴らした。

「どうも、ありがとうございます!いや~マタタビと煮干しで晩酌は楽しいですよね」

「ね~」

こうして俺たちはこの場を後にした。

門番が言うとおり、城内はチョコレートの海になっていた。途中、兵士が「女王様は肩書きだけだよな」「確かに。カリスマ性はあるが、俺達のためになることはしてくれない」「料理長love」「love!」と、愚痴をこぼしていた。かわいそうに。

それからしばらくして『研究室』と書かれた部屋を見つけた。中には入ると培養槽に入った一匹のドラゴンがいた。培養槽に水はなく、ドラゴンの背中につながっている管からチョコレートが流し込まれている。

そこから更に歩き、一際豪華な扉を見つけた。

「ここってー」

「女王の部屋だろうな」

「ー開けるよ」

「うん」

「いよいよだね」

中から声がした。

「何している、早く入りな」

「ばれていた!」

扉を開けて中には入ると冠を被った女性の猫人間と執事らしき男性がいた

「あなた達、勇者と仲間達だね?」

「そうだ」

「よくも私の部下達を!ミケル、こいつらを倒しな!」

だがミケルと呼ばれた執事は戦おうとしない

「おい、攻撃だ」

「は?」

「は?じゃなくて戦え」

「女王様はご自身に人徳があるとお思いですか」

「お前、何を言って」

「皆はただ、三毛猫種の猫人間の中で女性が希少であり、女王様が魔法で煮干しとマタタビを作り出されるから従っているだけ。私はそんなやつの指示に従うほどお人好しではない」

「あんたもう、執事を辞めなさいよ!」

「女王、お前の目的はなんだ」

「目的は2つ。一つは転送装置を使って別世界に魔物を送り売りさばくこと。動画の再生回数も伸びて良い退屈しのぎになるのよ。

もう一つは世界の支配。そのために特殊なグラタンも造らせた」

「そんなことのために俺達に余計な苦労をさせて、許さない!」

「許さなくて結構。ミケル、逃げるわよ」

「待て!」

女王達が逃げ込んだのはさっきの実験室。

「あなた達なんて、ドラゴンがいれば一捻りよ」

女王は培養槽の開閉スイッチを押した。

だが、ドラゴンは動くことなく前のめりに倒れこんだ。

「チョコレートの吸収しすぎですな。だから、あれほどチョコレートは止めましょうと申し上げましたのに」

「どいつもこいつも! こうなったらー猫パンチ!」

パンチをかわしてリクがチョップすると女王はダウンした

ミケルが拍手をした。

「お見事。我々の敗けですな。撤退しましょう」

こうして猫人間の組織は壊滅した。

「よし、それじゃあ、劇場の作成に取りかかろうか」

「おー!」












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