男子side
僕は昔、本で読んだことがある。
『世の中には稀に特殊な力を持つ人がいる』と
本にはそう書かれていた。
もし仮に特別な力を手にすることが出来るとしたら……みんなは欲しいと思うのだろうか。
みんなにはなくて自分にしかない特殊な力……さぞかし優越感に浸ることが出来るだろう。
でも、僕にとって特殊な力ほどいらないものは無い。
僕に与えられた特殊な力のせいで……僕は孤独にならなければいけない。
友達も奪われた。自由な時間も奪われた。
この力のせいで、人と話すこと自体を拒否されてきた。
「クソ! なんで僕ばっかりが!」
──ドンッ!
自分の部屋で独り、思わず机に八つ当たりする。八つ当たりをしても何の解決にもならない事なんてわかっている。それなのに……
こういう時、傍に寄り添ってくれる人がいたら……僕のことを理解してくれる人がいるのなら……どれだけ気が楽になるのだろう。
でも、特殊な力は僕が人に縋ることすら許さない。助けを乞うことさえも許さなかった。
もし仮に、僕の特殊な力を理解してくれる人がいるのなら……
僕はその人を本気で愛そう。
深く心に誓った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます