第4話 1日目~夜~

【いちご目線】


えー、ストーリーが全然進まないので、タイムループします!

何だかんだでこの世界のマップを手に入れた私達。

モンスターを倒しまくって、レベルは10になっていました。

私は[回し蹴り]を、

しとは[ワープ][フレイムアーチ][フリーズタワー][ウィンディウォール]を覚えました。さっすが魔法使い!

……ていうか、英語にしただけ……

ゆずしおは[リカバー]と、しとと同じく[ワープ]を習得。

残りMPに合わせて使います。

きりんは[アタックバリア]を。

よく見かける守備力を高くするものではなく、

攻撃から身を守るバリアを作ってしまおう!というもの。

ちなみに[リカバー]は回復呪文です。……説明おーわり!

さて、マップを手に入れた私達、これからどうなるでしょうっ?

以上、いちごでした。


【しと目線】


『ピコンッピコンッ』


端末からの電子音が響く。


「何だ?この音」


真っ先に声を出したのは、きりんだった。確かに、何だろう?


「端末に[称号]って表示されてるよ」

「ウチのところもだ」

「あ……僕のも」


皆に合わせ、僕も声を出す。全員のところにきてるみたいだ。

不思議に思ってタップしてみる。


「私は……攻撃の専門家?」

「僕は……魔術師」

「ウチは……駆け出しの勇者」

「俺は……マネーを求める者……ってなんだよ⁉」


[称号を手に入れたので500円を差し上げます]


と、表示された。きりん、喜ぶだろうな~

ところが。


「なぁ、単位が[円]ってさ……[G]でもよくねぇ?」

「……[ベル]とか[コイン]でもいいよねぇ」

「現実を突きつけられたぁ……」


きりんに続いて、2人も言いたい放題だ。


「そろそろ、町を探さない?4人合わせて2000円になったしマップ見れば行けるでしょ」


僕が提案した。


「そうだねっ装備も買いたいし。モンスターを倒してゲットしたのも入れれば、5000円になるよ~」

「近くに村ない?ゆずしお」

「う~ん、あ、ココじゃない?山の上のさ……」

「そこに行くか。早く寝たいしな~もう夜だぞ」


しかし、この判断が未来の僕たちを困らせることになったのだった。


【ゆずしお目線】


「ねぇ、なんかモンスター強くない?」


[回し蹴り]を終えたばかりの、いちごが言った。

確かに。[メタルドラゴン]とかいう強そうなヤツがうろうろしてるしねぇ。


「ゆずしおっ危ない!」


なに、これ……

体に衝撃がはしる。どう考えても、今までとは比べようのないものだった。


「やっぱり……よくマップ見ろよ!ここ推奨レベル30の場所だぞっ」


きりんが怒鳴る。

これはウチのために怒っているんだ……きりんの膝を見ると擦り傷ができている。

いちごはオロオロしてて。しとは顔が青ざめてる。

何だかいつもの皆らしくないよっ!こんなの嫌だ!


「落ち着いてっ!しと、[ワープ]準備して!近くのセーブポイントまでワープできるはず。きりん、次のターンで[アタックバリア]!いちごは[攻撃]っ!」

「わ、分かった!」

「あ、あぁ。[アタックバリア]だな?」

「う、うん、OK!攻めるよっ?」


皆、ウチがいつもと違う行動に出たのに驚いてるんだろう。

ウチは、急いで端末を操作する。


[リカバーゾーンを発生させました]


優しい色合いの魔法陣が現れる。

MPが1になる技だから、言わないでおいといたんだけど。こんな時に役に立つとはね!やっぱり強力な技。ウチの体力はドンドン回復していく。

よーし!このピンチを乗り越えてみせる!


【きりん目線】


いきなり勇者らしくなったゆずしおを見て、やっぱりこいつ凄いなぁ、と思った。

自分がピンチなのにも関わらず、周りのことを見ていた。ソレに比べ俺は……

この心境が読めたのか、しとが近くに来る。


「きりん、僕はきりんの言ったこと立派だと思うよ。だってさ、友達のために怒れたんだ。これって、そうそう出来る事じゃないよ!」


少し親のいう事に似ていたけれど、不思議とイラつかなかった。

人に言葉を伝える事が苦手で、周りとは違うところを持っているしとだけど、そんなところがいいところなんだよな。

こんな考えも読まれていると思うと、ちょっとばかり恥ずかしいけど。

しとも照れてるのか、ほんのり顔が赤くなっていた。

そして顔を見合わせ「ハハッ」と笑う。

……こんなときになんだけど、決してミッ〇ーの声じゃないから!


「ワープ、出来るよ!」


しとが声を上げる。

そして俺たちは、どこかへ飛ばされていったのだった。

これも「キラーン✧」とかいう効果音つけなくていいから。な?





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る