第3話 1日目~夕方~

【いちご目線】


「……ってなワケで……」

「しろくろーず団は、この世界を救うことを目的とします!」


しとと、きりんが言った。


「「 はーい! 」」


と、私達も声を合わせる。


「えっ……?」

「反対の意見とかないの⁉

『ウチ達全員で決めることを、勝手に決めるなんて!』……とかさ」


きりんがゆずしおのマネをする。に、似ている‼


「プッ、アハハハハハハハハ!」

「反対して欲しいのっ?っクスススㇲ……」


きりんが言い出したコトなのに、真っ赤になって怒ってきた。


「っっっ……!わっ、笑うなぁ!」


けれど一度バラバラにされたパズルのように

笑いのツボをつかれた私はなかなか、おさめることができなかった。

まあ場も和んだし……良かった、のかな?


【しと目線】


「自分の持ち技、チェックしてみないか?」


そう切り出したのは、僕だった。せっかく目的を決めたワケだし。

どんなRPGやってても、最初にしたいのはソレだよね。


「じゃ、いちご」

「はーい、私は……っと。ん~、[攻撃]のみ!」

「そっかぁ。えと、ゆずしお」

「ウチも[攻撃]だけ」

「次は……きりん」

「今の間何だよ⁉ったく……えーと、

[攻撃]と[盗む]、[スリープアタック]?」


なるほど。

[盗む]は、そのままの意味。

[スリープアタック]も、眠らせるようなアタック……つまり攻撃をするワケだ。


「で、しとは?」


ゆずしおが聞いてきた。


「ええと。[攻撃]と[フレイム][フリーズ][ウィンディ]かな」


[フレイム]=炎 [フリーズ]=氷 [ウィンディ]=竜巻……の魔法か。


「えぇ~しとズルいぃ~」

「でも力も弱いし、HPも少ないぞ?」


ゆずしおは他に何が欲しいんだろう。自分が勇者ってこと忘れてないか?アイツ。

きりんは専門系の技が多い。[盗む]なんて、男のロマン(?)じゃないか!

いちごに限っては、[力]が桁外れだ。

レベル1なのに、いちごは[力]が32。ソレに比べ僕は2。30の差だ。

僕はМPも多いし、魔法も使えるけれど……


「僕は、皆の方がズルいけどなぁ……」


ポツリと漏らした言葉だった。


【ゆずしお目線】


「今度こそリベンジだぁ!」


ウチは叫んだ。

そして、ビシィッと出した指の先には100均スライムが4匹いる。


「あ、そうだね。じゃあ行こ」


しとが言うが、そんなのお構いなしだ。


「ウオオオオッー!」

「……う」


しとは残された言葉を言ったのだが、完全に引きめの一言だった。

ウチ、今日何回引かれるんだよ⁉

そう思いながらも、100均スライムに突進したのだった。


一瞬だけど、目の前が真っ暗になった。それを境に、フィールドが変化していく。

さっきいた場所と同じような見た目なのだが、恐らくバトルフィールドってヤツなのだろう。

……あーヤバい。ウチにしてはマジメ~なこと言ってるよ。

キャラが崩壊していくぅ~。あぁ……


「ドシャァ……」


ウチは倒れる。

自分で効果音を入れてみたものの、誰一人突っ込んでくれなかった。

―― 草がつべたい


【きりん目線】


戦闘中の俺たちだが、調子狂うなぁ……

緊迫した空気が流れててもいいハズなのに、俺以外皆寝ている。

流石、とでも言うべきか。しろくろーず団の通常モードに入っている。


「だあぁあ!おいっ、起きろぉぉ!」


俺は叫ぶ。


「ハァ……ハァ……」


聞こえるのは俺の息づかいと、100均スライムのべちゃっとした音だけ。

こういうのって、『虚しい』って言うんだっけ?

こいつらめぇぇー

『ビクッ』ってしてもいいのに、ずっと寝てやがる!

……ん?寝ている?そうか!


「状態異常だ……」


その答えを待っていたのか、100均スライムが跳ねる。

それが分かればこっちのもんさ!


「状態異常には、状態異常でかえさせてもらう!」


[きりんの特技発動!スリープアタック! ▼

  100均スライムに10のダメージ! ▼

    100均スライムは消滅した]


……あんなカッコつけたけど、100均スライムって弱いの忘れてた……

それからは、素早さの高い盗賊の本領を発揮して、軽々と100均スライムを倒した。


「ん、ふわぁ……」


いちごが起きる。しと、ゆずしおも起きてきた。


「あっ⁉100均スライムがいない⁉」

「本当だ……」

「なんかレベル2になってるし」

「「「 きりん、なんかした⁉ 」」」


こいつら……しばこうか……?




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