アイスクリーム(4)
目が覚めた。私はどうやら布団に入ることなくそのまま床に寝てしまっていたようだ。時計に目をやると2時18分だった。 顔を洗いに行くために洗面台へ向かうと書いてこちらを虚ろな目で見つめ、ふいと目を逸らした。 バリーンと音が聞こえたと思うと×××はいなくなっていて、代わりにガラスの破片が飛び散ってその破片の中で初めて×××は「うん」以外の言葉を発し笑った。そして私も笑った。どことなく寒気がした 。
カツンカツンと音がする。私はその音を聞いて嬉しさが込み上げた。私はその音の主に何かを期待して、何かを求め、微笑む。その人は顔を真っ青にして私に急いで駆け寄り、宝物を抱えるようにそっと抱きしめ、ごめんねごめんねと何度も何度も繰り返し謝り、頭をそっと撫でた。
破片の中で×××はうらやましそうに私を眺め、目線を動かし上を見ていた。私がその目線の先を追うと、 ステンレス製の棚が見え、その上には昨日のカップアイスが横たわってピチョン、ピチョンと音を立てて涙を流していた。それ以来×××はいなくなった。
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