第6話 木の伐採中に

 以外と速く、ステルスとステルスの腕に置かれている《クレル》は戻ってき森の奥からもどってきた。

 無言な2人に私は駆け寄った。


 なんか、ステルスと隣に並ぶと《クレル》がすっごく小さく見えてしまう。


 あぁ、後はシルだけだね。


 まぁ、あんな大口叩いたけれど放っておいたら、勝手に猫みたいに帰ってくるでしょう。狼なんだけどね~。あはは。

 さっきまでの心配はどこに行った、と自分でも思った。


 日が、てっぺんに登り私に直視するように日が当たる。


 今は何月何日何曜日なんでしょうか。とっても知りたいです。

 え?街に行ってカレンダーを買えばいいって?

 街なんざ行きたくねぇーよ。あんな腐れきった世の中に人が群がっているだけの空間になぁ!

 もぉー、こりごりだぁ!上の人に媚びをうっている人を見るのが辛いんだよぉ!


 はぁー。そんなことはさておき。

 

 午後の目的は、木材が欲しいです。火を起こすために必要ですし、これから何か創るときにも必要ですしね。

 家とかかな。何年かかるんだろ。


 ぶんぶん振り回して、木を伐採しますか。

 ステルスは、《クレル》をいつもの定位置に置いてからどこかに消えた。

 帰った訳ではなさそうだ。だって、岩のそばにステルスの気づ付いた盾が置いてあるから。

 そして《クレル》は、いつも以上に大人しいから《クレル》が視界から消えないような場所で切ることにした。


 《クレル》の目は死んでいる。放っておいたらいつかは復活するだろう。そう願った。


 今回は限度を考えて切らなければ。この前は、《クレル》が止めてくれたからよかったけれど!今回は《クレル》は死んでいる(目が)。

 何本切るかを設定して、数えていれば切りすぎることもないだろう。

 切る本数は10本に設定した。四角形の後になるようにと、気を切っていこうと思う。


 やけに静かだった。

 盾を忘れてステルスは、帰ったのだろうかと思い辺りを見渡すと、緑の葉っぱの隙間から赤い髪がチラついた。

 ステルスは一際大きい木の上に登っていた。

 そして見られているのに気づいたのか、こう言った。

 

「この木だけは、切らないでくれるか」


 切なさを残しつつ、希望の光が少し入った目をこちらにむける。

 本当に誰かが死んでしまったりしたのだろうか。

 

 勿論その大きな気は、切ろうとはしていなかった。

 シンボルにしようかと、考えていた。

 正確には、今考えたが。


「勿論。切りませんよ」


 ステルスは、ありがとう、と言葉を残して木と#戯__たわむ__#れている。

 思い出が相当詰まった木なんだろう。

 

「ふふふ~ン ふ~ん ふっふふ~んふ~ん バハム~~ト」


 そよ風が吹く。

 私と、ステルスの髪はなびいた。


 少しだけ掠れた声で、小さく囁くようにして、鼻歌交じりの歌を歌う。


 シリアスだなぁ。元から謎多き人なんだろうとは思ったけど。ここまでとは思いもしなかったよ。


「バハムートってなんですか?」


 よく、小説で出てきたりするけどそんなに強いの?

 竜の一種なんでしょうか。軍隊って、大群の間違いじゃなくて?

 

 不思議な歌だな。


「バハムートは、国が飼っている竜の一種だよ」

「そんなにお金持ちなんですか?」


 ステルスは悲しい顔をする。見ているのが辛くなるので、木を切りながら話を聞くことにした。

 

─スパァーン


 スコップを右から左に振る。


 左に木が倒れる。


「お金持ちな訳では無いよ。ただ。#古__いにしえ__#の勇者が戦利品として持ってきて繁殖させただけだから」

「そこから根付いたわけですね」


 私からステルスは見えにくい位置にいるが、あぁ、と返事が聞こえてきた。


 又、風が吹く。


 もう一振、私がすると木が思わぬ方向へ倒れて行った。


 その時に何かの鳴き声が聞こえてきた気がしたが、木の倒れる音が大きくて聞こえにくかった。


 鳥がそれぞれ、大きな音に驚いて逃げていった。


 ステルスは、シンボルとなる予定の木から降りてくる。


 その姿は、まるで古の勇者のようだった。


「ムーンウルフか。珍しい」


「そんなにめずらしいんですか?」


 昨日も後ろに付いて行ってたんだけどなあ。

 気づかなかったんだよね。きっと。

 てか、シル!?戻ってきたんですか!?

 怪我してないですか!?

 走って駆け寄るが……。


「シル!?」

 

 ──遅かったみたい。








*  *  *  *  










 ステルスと2人で、倒れた大木を動かくことにした。

 ステルスが8割りの力で、私が2割の力で持ち上げた。

 2割と言っても、私の全力がステルスの内の2割だったと言うだけ。

 大男とか弱い女の子を比べてはダメですよ。

 と言うより、その時腕に力がなかなか入らなかったからだ。


「シルっ!?」


 私は今、どんな顔をしているでしょうか。

 半泣き状態っていうのは分かりますね。

 視界がぼやけて見えるので。


「はぁーーー。心配させないでぇ。シル」


 私は安堵のため息を吐く。

 半泣き状態なのには理由がある。

 シルが、大木の下敷きになったからだ。


 私が無造作に切り倒したから、あらぬ方向へと倒れてしまったからシルが巻き込まれたのである。


 スコップの使い方も少しは気をつけなければと、思わされる出来事だった。


 今は、シルの下敷きにされた足の手当をしている。

 《クレル》は放心状態で助けてくれないので、たまたまそこに居合わせたステルスに手当してもらっている。

 感謝の言葉しか出かない。


「これで安静にしていれば、治っていくであろうな。ただ、結界をしてあるから触らぬようにな」

「あ……りがとぅ……ご…ざいまっ……すぅ」


 目頭が熱く、涙が頬を伝って地面に落ちていた。

 声が出せない。喉が熱くて、声が出ない。

 私はいつの間にか号泣していた。

 何年ぶりだろうか。こんなに泣いたのは。という程、泣いていたらしい。


 実際に、数年間は泣いていない。


 それが溜まっていたのかは知らないが、手で拭っても、また大きな粒が目から落ちてくるのでキリがない。

 

 これから気をつけよう、いや、今から気をつけようと決心した数時間であった。

 ステルスは、こういう事が起きてこそ、仲間の大切さ、物の管理の仕方、一つ一つの物事を考えて行けるようになるんだ、と言ってくれた。


 お父さんみたいで、嬉しかった。


 私の家庭は母子家庭だった。

 私の父のDVが原因での離婚だった。

 幼い頃に起きたことらしい。母親は一時期病み期にあり、数週間祖母にあずけられた時に聞いた話で、曖昧なところはあるが。

 なので、親にはあったことが無い。

 会いたくもないし、今更死んでいるのに会えるわけもないし。


 少し落ち着いてきたところで、疑問に思ったことをステルスに言う。


「結界って……なんでですか」

「結界の中だけを昼間の空間にしておくことで、シル?」

「はい。シルです」

「シルの、覚醒を防ぐことが出来る。覚醒してしまうと、体が大きくなって無理に動こうとするし、包帯が張り裂けてしまうからな」


 納得した。そしたら、その逆のことが出来るのではないのか?と思ったがそれを思いついたのは、またあとのお話で。


 誰かを失うってことは、こんなに苦しいんだ。


 そしたら、お母さんを1人にして悪かったな、と罪悪感に#苛__さいな__#まれた。

 いやいや、お母さんだったら喜んでくれるはず。

 誰かを助けるためだったら仕方ないよねって。 

 許してくれるよね。きっと。


 これを深く話を掘り下げるのもまたあとのお話。


 ステルスは、《クレル》を摘み起こして、事情を話して街へ帰っていった。

 

 よぉーし。次は気を付けて、仕切り直しますか。

 

 日が傾いてきた。又、1日が早く過ぎてしまう。 

 こんなに楽しみながら過ごせる1日って、いつぶりだろうか。

 これからここで生きるんだから、そういう過ごし方もありだよね。


 これからよろしく。世界。

 これから1人で旅立って行きますよ!私!

 

 また、目標数を増やして木を切り倒していった。

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