第一章のあらすじ(1000字以内)


 AI開発を主軸とするIT企業『Alive』の広報部に勤める真鍋まなべつとむは、学生時代からの夢であるAI開発部への異動を願いつつも、非情になりきれない性格のため一歩踏み出せずにいた。


 ある日、大学からの親友である足立あだちゆうからコミュニケーションAI『Facili』のモニターを頼まれる。


 自分とは対照的に出世街道邁進中の優との実力差に恐れを抱く勉であったが、好奇心に負けてFaciliを起動。

 驚くほど人間味溢れるファシリに夢中になった勉は彼女の仲介の元、女子大生のハルハルさんとめぐり逢う。

 コミュニケーション(特に女性との)に苦手意識のあった勉であったが、価値観が近く熱意溢れていたころの自分と重なるハルハルさんに惹かれていく。


 その後、ファシリのフォローもあって実名を共有しライブチャット(カメラチャット)をするに至り、お互いぎこちなくも確実にその距離を縮める事となった。


 そしてついに直接対面することになるのだが、この時春美はるみ(ハルハルさんの実名)から男性恐怖症である事と、勉だけが例外である事が明かされ、勉は彼女に対して特別な感情を抱くようになる。

 

 一方、開発部への異動に関してはファシリと春美さんの応援と優の手助けにより順調に進展。あとは結果通知を待つだけとなった勉は春美さんの目標である立体構築絵画(3Dアートを現代美術として昇華させたもの)を応援する事に全力を傾ける。


 お互いに支え励まし合い全てが順調にいくかに見えた二人。


 しかしある日、暫定的に異動が決まったことで浮足立っていた勉は酒を飲み過ぎ指輪を外すのを忘れ、既婚者であることが春美にバレて音信不通となってしまう。


 勉は既婚者といっても世間体を気にしたあくまで戸籍上の結婚であり、相手の真理まりとは婚約当時から別居状態であった。


 春美を騙すつもりなどなかったと自分に言い聞かせる勉であったが、原因不明のバグで不調を抱えていたファシリから冷たくあしらわれ、八つ当たりしてしまう。


 追い打ちをかけるように、ほぼ確定してたはずの異動の件も白紙となり、勉は絶望の淵に立たされる。


 いっそ全てを無に帰そうとファシリのアンインストールを実行するが、削除される直前で春美がログインし、彼女から『あなたの事が好きでした』とメッセージが届く。


 勉は春美との関係を失ってからそれが恋愛感情であったと気がつき後悔するも、全てはもう元に戻す事はできないと思い知るのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る